おじさん、こんにちは。松阪牛(まつさかうし)について教えて下さい。
やあ、こんにちは。
それではまず、松阪牛を見せてあげよう。
わあ、よく太って大きな牛ですね。
松阪牛は、外国でもおいしい肉として、
その名前がよく知られているんですよね。
松阪牛
『2006年11月26日第57回松阪肉牛共進会
(まつさかにくうしきょうしんかい)』
その通りだよ。
牛の種類はいくつかあるけど、
日本にはお肉にするための「和牛(わぎゅう)」と呼ばれる牛がいるんだよ。
松阪牛はその仲間の、「黒毛和種(くろげわしゅ)」という種類で、
その中でも、子牛を産んでいないメスの牛だけを育てて大きくするんだ。
牛を育てる農家の人たちは、優(すぐ)れた肉牛にしていくために、
1頭1頭えさの与え方や、牛舎(ぎゅうしゃ)と呼ばれる牛を飼う場所の管理のしかたなど、
いろいろ工夫をして、十分に世話をして育てているんだよ。
牛には、肉にするために飼われている種類(しゅるい)があって、それを肉牛と言う。
「にくぎゅう」とか「にくうし」と読むんだ。
牛乳を取るための牛は乳牛(にゅうぎゅう、ちちうし)だよ。
「松阪牛」というくらいだから、松阪市で生まれた牛なんですか?
兵庫県、宮崎県、鹿児島県など、全国の子牛産地で産まれた優(すぐ)れた子牛の中から、
農家の人が松阪牛として育てていくのに最もいい牛を、
子牛を売ったり買ったりする子牛市場で選んで買って来るんだよ。
松阪牛生産地域(まつさかうしせいさんちいき)(2004年11月1日現在)
市町村合併前の市町村名で表示しています。
それじゃあ、松阪牛はどの地域で育てているんですか?
上の図に示した松阪牛生産地域(まつさかうしせいさんちいき)で育てて大きくするんだよ。
この地域には北からいうと雲出川(くもずがわ)・櫛田川(くしだがわ)・宮川(みやがわ)など、
水がきれいで大きな川があり、この水のおかげでおいしい肉になるといわれているね。
松阪牛生産地域--松阪牛を育てる範囲(はんい)は、だれがどうやって決めたんですか?
松阪牛を取り扱っている3つの団体があって、
以前はこれらの団体ごとに生産地域が決められていたんだけど、
肉を買う人がだれでもわかるようにしようと、農家の人や、松阪牛に関係している肉屋さん、
JA(農協)さん、家畜商(かちくしょう)さんなどの団体の人たちが話し合いをして、
2004年(平成16年)11月の市町村の境界(きょうかい)をもとに、1つに決められたんだよ。
松阪牛生産地域へ来てから、どれくらいの期間育てるんですか?
松阪牛として認(みと)められるには、たくさんの決めごとがあってね
(くわしくは、「解説・松阪牛の定義」を見てね)。
その中で、松阪牛を育てる期間は
「松阪牛生産地域で育った期間が一番長いこと」となっている。
他の地域で育った期間が松阪牛生産地域よりも長い場合はだめなんだ。
農家の人が子牛を市場などで買って来たら、
松阪牛を1頭ごとにきびしく管理する
「松阪牛個体識別管理(まつさかうしこたいしきべつかんり)システム」に、
最初に登録(とうろく)する。
「松阪牛個体識別管理システム」・・・ですか。
むずかしい名前ですね。どんなシステムですか?
阪牛が育って大きくなり、牛肉になるまでの間、
牛のデーター(生年月日、育てている場所、
松阪牛生産地域で育てられた期間など、いろいろな情報)を
まちがいなく管理して、
松阪牛の肉として店に並(なら)んだ時には、
買った人に安心して食べてもらえるように、
インターネットでそのデーターを見られるようにしているんだよ。
松阪牛が食卓(しょくたく)に上るまでには、
農家の人たちの知恵と努力、
三重県松阪食肉公社(みえけんまつさかしょくにくこうしゃ)や
取引・流通業者(とりひきりゅうつうぎょうしゃ)や
販売店(はんばいてん)の確かな仕事、
それに松阪牛個体識別管理システムによるきびしい管理が行なわれています。
システムを管理する三重県松阪食肉公社(みえけんまつさかしょくにくこうしゃ)
の係の人が、まちがいのないように1頭ずつ牛舎に行って確認(かくにん)するんだよ。
松阪牛シール
松阪牛になるために決められたことと合っているかどうかは、
どのように調べているんですか?
農家の人が買ってきた子牛を確認してから、
牛と農家のいろいろな情報を、パソコンに入れて、わかりやすく整理する。
そして、牛が大きくなり、肉になるときに、
松阪牛になるための条件(育った場所、期間など多くのこと)に合うか合わないかを
パソコンで確認できるようにしてあるから、
合格したときは、「松阪牛」としてはっきりとわかるようになっているよ。
三重県松阪食肉公社の係の人が、まちがいがないようにきびしく管理をしているんだ。
松阪牛のお肉としてお店にならぶときに、
このシステムで管理された松阪牛かどうかをどうやって確認できるんですか。
そうだ、君たちは、百貨店やスーパーなどのお店で牛肉を買うとき、
こんなシールがはってあるのを見たことがあるかな?
牛肉のパックにはってあるのを見たことがあります。
太い赤い字で「松阪牛」って書いてありますね。これは何ですか?
「松阪牛シール」というんだ。
松阪牛になるために決められたことがらに合格して、
お肉になったときに、はることが出来るシールなんだ。
まちがいのない松阪牛ですよ、と証明しているんだよ。
松阪牛シールの中に10桁(けた)の番号が書いてあるね。
これは個体識別番号(こたいしきべつばんごう)といって、
日本のすべての牛1頭ごとに両方の耳に黄色の耳かざりのようなものがつけてあり、
この番号がついている。
松阪牛個体識別管理システムでは、
みんなが安全で安心な松阪牛の肉を食べられるように、
この番号を利用して、松阪牛になるための決めごとが守られている。
また、肉になったときに、牛や農家の情報がインターネットで
確認できるように証明しているんだよ。
この番号で、ぼくたちでも、買った松阪牛の肉がどのような牛であったのかがわかりますか?
パソコンや携帯電話(けいたいでんわ)を使って、
インターネットの松阪牛のサイトで、個体識別番号(こたいしきべつばんごう)を
入れて調べるんだよ。
このサイトでは、松阪牛個体識別管理システムで管理している松阪牛についての
36ものことがらや情報を見ることができる。
つまり、牛がどこで生まれたか、どこで育てられたか、育てた人はだれか、などの、
生まれてから肉になって店に並(なら)ぶまでのことがわかって、
まちがいなく松阪牛であると証明されるわけだ。
松阪牛シールの右側に「A-5」とか「A-4」とか書いてあるけど、どういう意味ですか。
「格付(かくづ)け」といわれる肉の見わけ方で、牛肉を市場で取り引きするための、基準だよ。
これは、A・B・Cのアルファベットと1・2・3・4・5の数字の2種類を
組み合わせて基準をあらわしている。
A・B・Cは「歩留(ぶど)まり」といって、
1頭の牛が肉になったとき、
決められた部分を切って調べるんだ。
赤い肉の割合を示す記号だよ。
A(多い)・B(標準)・C(少ない)に区別される。
松阪牛シール右側の品質表示欄(ひんしつひょうじらん)。
特産、A-5、A-4などの表示があります。
枝(えだ)肉(にく)という、牛肉の大きなかたまりを切って、肉の重さ、
決められた場所の肉の大きさと厚さ、脂肪(しぼう)(あぶら身)の厚さを測って計算するんだ。
1・2・3・4・5は?
肉質といわれる、肉の色やつや、
きめのこまかさ、それに肉の赤い部分の脂肪の
散らばり方を基準にしたものだ。
肉屋さんなどが、肉の市場なんかで
牛肉を売り買いするときに、
これらをよく見て決めることになる。
5に近いほど上質の肉として取引されるが、
おいしさには直接は関係ないといわれているんだよ。
上質の肉ってどんなのかな?目で見て分りますか?
そうだね。たとえば左の図を見てごらん。
赤い肉に白い脂肪(あぶら身)が散らばっているね。
これは肉を売り買いするときの基準になる見本だよ。
霜(しも)が降(ふ)ったように見えるから
「霜降(しもふ)り」といい、これは松阪牛を含めた
和牛の肉の特長(とくちょう)で、外国産の牛の肉には少ないんだ。
霜降りが多くて細かく、全体に広がっているほど
売り買いする市場では上質の肉とされるんだよ。
※画像をクリックすると拡大画像が見られます
霜降りの区分。
1・2・3・4・5の等級は、この他に肉やあぶらの色・つやなどをもとに決められます。
状態により12種に分けられます。
シールの右側に「特産(とくさん)」と書いてあるところがありますが・・。
これは「特産松阪牛(とくさんまつさかうし)」
のことで、松阪牛の中でも特に兵庫県で生まれた牛を
松阪牛生産地域(まつさかうしせいさんちいき)で
900日以上の長期間育てたものをさすんだな。
兵庫県産の牛を普通の松阪牛よりも長い期間育てると
肉がやわらかく、肉の脂肪(あぶら身)が溶けやすく、
甘くていい香りがするようになるといわれている。
このおいしさは、A-5などの「格付け」ではわからないので、
「特産」としてあるんだ。
ただし、このように長く育てるには、
「匠(たくみ)の技(わざ)」と呼ばれる伝統的な技術や、
手間、そして経費を必要とするので、農家の人たちの努力が必要なんだよ。
特別な松阪牛になるんですね。
肥育農家では、全国各地から肉牛として優秀な生後およそ7~8ヶ月の黒毛和種のメス牛を購入し、
松阪牛個体識別管理システムに登録し、肥育します。
登録できるのは、「松阪牛協議会」に入会した農家です。
牛が肥育される地域も決まっています。
市町村合併で市や町の範囲が大きく変わっていますが、
混乱しないように市町村合併前の2004年11月1日(松阪牛協議会の発足日)現在の
22市町村とされています。
この範囲内での肥育が最終最長で未経産(出産していない)であること。
以上の条件を備えた牛が「松阪牛」です。