松阪牛の美味しさの秘密

松阪牛の美味しさの秘密は…

  • 【香り】・・・甘く上品な香り(和牛香)
  • 【脂肪】・・・ヘルシーで良質な脂肪(不飽和脂肪酸)
  • 【食感】・・・すぐに溶けてまろやか(脂肪融点)

松阪牛の香り

美味しさは香りが決め手

美味しさを決める要素の中で、香りの果たす役割は大きくなっています。

風邪などで鼻がつまっていると食事が味気なく感じることがあり、
これは食品の香りを識別できないために美味しく感じないことによります。

和牛香

和牛香の研究風景
【和牛香の研究風景】

和牛香は、熱を加えた時の和牛肉
(霜降り肉である黒毛和種の牛肉)
の香りとして現れます。

松阪牛の和牛香は、甘くコクがある上品な香りが
特徴です。

(和牛肉の美味しさの原因)

和牛肉と輸入牛肉の比較研究の結果、≪和牛肉は輸入牛肉と違って、
甘くてコクのある特有の香りが豊かであること≫が
美味しさの主原因であることがわかりました

(香りの成分)

種類は多種多様で、桃やココナッツ、その他の果実の香りを持ったものもあり、
他にも脂や樹木の香気成分が多くなっています。
これらの多様な成分の集合として作られる美味しい香りを「和牛香」と呼びます。

(和牛香の発生状況)

薄い食塩水に和牛肉を入れて80℃で2分間加熱すると最も強く感じられ、
さらに温度を上げるとかえって弱まりました。
そのことから、和牛肉はすき焼きやしゃぶしゃぶで食べると美味しさが引き立つことがわかります。

>>食肉の香りと和牛香をもっと詳しく

松阪牛の脂肪

美味しさに関係する脂肪の質

「美味しさ」については個人差がありますが、よく言われる表現に「とろけるような味」とか
「滑らかな舌ざわり」があります。こうした美味しさに関係することの一つとして、
脂肪の質が影響すると考えられています。

松阪牛の脂肪の特徴は 豊富な不飽和脂肪酸

(脂肪の種類)

 脂肪には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、
和牛肉では飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の比率が
輸入牛やその他の品種に比べて大きくなっています。

松阪牛は一般的な和牛よりもさらに豊富に
この「不飽和脂肪酸」を含んでいます。

※不飽和脂肪酸の含有率は牛の個体(肥育期間等)により変わります。
 肥育期間が長いほど、不飽和脂肪酸の含有率が高くなるという研究結果があり、

 特に長期肥育された「特産松阪牛」は含有率が高くなります。

(不飽和脂肪酸と健康)

脂肪融点の研究風景
【脂肪融点の研究風景】

 最近日本人の食生活が変化し、
脂肪の摂り過ぎが問題になっていますが、
不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを低下させ、
血液をサラサラにする効果があるとされています。

また不飽和脂肪酸には抗酸化作用があるため、
適度な摂取をすることで、血中コレステロールの適正化、
またはガンや生活習慣病の予防効果が期待されています。

不飽和脂肪酸を豊富に含む
松阪牛は実はヘルシーなお肉なのです

(不飽和脂肪酸と美味しさ)

 健康面だけでなく、不飽和脂肪酸は融点(脂肪が溶け出す温度)が飽和脂肪酸より低く、
従って和牛肉を口に含むと脂が溶けて口当たりが良くなり、
輸入牛肉などに比べて美味しく感じられるのです。

松阪牛のとろけるような食感はこの豊富な不飽和脂肪酸が関係しているのです!

>>脂肪酸組成についてもっと詳しく

松阪牛の食感

松阪牛の脂肪は低い温度で溶ける

 不飽和脂肪酸は融点が低いので、これを多く含む牛肉を口に入れると
すぐに溶けてまろやかな感じになります。

(松阪牛の脂肪の特徴)

松阪牛は不飽和脂肪酸の比率が高いので、
乳用種や交雑種はもちろん、
同じ和牛と比べてもさらに融点が低く、
とてもに舌ざわりが良くとろけるような食感となり
美味しさが強調されます。

脂肪融点の研究風景2
【測定機器】

※松阪牛の脂肪融点は、現在の研究では17度前後。
中には13~14度くらいのものもあり、
手のひらに乗せただけで溶け出すほどです。

牛の品種と脂肪融点

品種 組織 融点(℃)
松阪牛 皮下脂肪 17.4
和牛 皮下脂肪 25.9
交雑種 皮下脂肪 29.9
乳用種 皮下脂肪 30.2
  • 松阪牛のデータは三重県畜産研究所2006年3月27日現在〈参考:検体数288頭の結果より)
  • その他のデータは愛知県農業総合試験場・畜産研究所・肉牛研究室の1994~2001による

 ※脂肪融点は牛の個体(肥育期間等)により変わります。
 肥育期間が長いほど脂肪融点が低くなるという研究結果があり、

 特に長期肥育された「特産松阪牛」は脂肪融点が特に低くなります。