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三重県宝塚一号墳出土埴輪が国宝に指定されました!

ページID:0111504 更新日:2024年8月29日更新 印刷ページ表示

「船形埴輪」をはじめとする三重県宝塚一号墳出土埴輪が国宝に指定されました

 国の文化審議会は、令和6年3月15日に開催された「文化審議会文化財分科会」の審議を経て、「三重県宝塚一号墳出土埴輪」を国宝に新規指定することについて文部科学大臣に答申、令和6年8月27日、文部科学省告示第120号により船形埴輪をはじめとする宝塚1号墳から出土した埴輪は、一括して国宝に指定されました。

 278点からなる「三重県宝塚一号墳出土埴輪」は、伊勢地域最大の前方後円墳である国指定史跡  宝塚1号墳(全長111m)の墳丘及び造り出しから、当時の埴輪配列の全体像を保った良好な状態で出土しました。とりわけ、大形の埴輪船は、立体的な立ち飾りをもつ他に類例のないものであり、美術的にも大変優れた造形物です。これらの出土品は、古墳時代における首長の葬送儀礼(そうそうぎれい)を考えるうえで重要な意味を持つ埴輪資料です。さらに、埴輪・土器・土製品270点が附(つけたり)として加えられた結果、合計278点が国宝に指定されました。

三重県宝塚一号墳出土埴輪(278点) 令和6年8月27日指定

一、船  一点

一、囲  三点

一、家  四点

附 埴輪残欠      二百六十二点

  土器・土製品      八点

集合

 国宝に指定されたさまざまな埴輪(左から順に 囲(カコイ)形・家形、家形、蓋(キヌガサ)形、甲冑(カッチュウ)形、盾形)

集合家形蓋形甲冑盾集合
国宝に指定されたさまざまな埴輪(左から順に 柵形、壺形、二重口縁壺、円筒)
柱状壷形壷形(二重口縁)円筒

 船形埴輪をはじめとする「宝塚1号墳出土埴輪」は、松阪市民だけでなく国民全体の貴重な宝・財産として、後世まで大切にまもり伝えていかなければなりません。

 現在、宝塚1号墳出土埴輪は松阪市文化財センターで収蔵され、その主要な資料は「はにわ館」で公開しています。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

日本最大、唯一立体的な飾りをもつ船形埴輪

 宝塚1号墳の発掘調査では、古墳のマツリの場とされる「造り出し」の周囲からたくさんの埴輪がみつかりました。とりわけ、船形(ふねがた)埴輪は第一級の埴輪資料の発見として、全国的な話題となりました。

宝塚1号墳出土 船形埴輪
船型埴輪

 宝塚1号墳の発掘調査でみつかった船形埴輪は、ほぼ完全な形で復元することができました。船形埴輪は、大阪府や奈良県をはじめとして全国各地でみつかっています。しかし、宝塚1号墳の船形埴輪は、全長140cm、円筒台を含めた高さ94cm、最大幅36cmと、これまでにみつかっているものの中では最大規模のものです。

 さらに特筆すべき特徴として、他に類例のない豪華な装飾がほどこされていることがあげられます。船首と船尾には、権威を象徴する複数の鰭(ひれ)状突起で飾られています。また、船体中央には同じく権威を象徴する蓋(きぬがさ)と呼ばれる日傘、王のもつ杖とされる威杖(いじょう)が2本、威厳を示す大刀(たち)が立てられていました。このような装飾がほどこされた船は、古墳石室に描かれた壁画、円筒埴輪に描かれた線画で知られていましたが、立体的な形で確認されたのは、今回が初めてとなります。この発見は、古代の葬送儀式で使われた船は権威を示す様々な品物を船上に立てて飾る風習を立体として表現したものとして、学術的に極めて高い資料であると評価されています。

船形埴輪  各部分の名称
_船形埴輪各部名称(松阪市)

 この船形埴輪をくわしく観察すると、表面のくぼみに赤色の塗料(ベンガラ)が残っていることがわかりました。このことから、造られた当時の船形埴輪は赤色に塗られていたと考えられます。昔から、赤色には「神聖なものを護り、邪悪なものを退ける」力があると考えられていました。船形埴輪に塗られた赤色は、宝塚古墳に葬られた人物の魂が何者にも邪魔(じゃま)されず黄泉(よみ)の国【死後の世界】へ旅たつことができるようにとの願いが込められていたのかもしれません。

【参考資料】東殿塚古墳(奈良県天理市)から出土した 円筒埴輪に描かれた船(トレース図)
船トレース

埴輪からかいまみる古墳時代の船

 大木を半分に割って中をくりぬいた、丸木舟と呼ばれる船は、縄文時代から使われていました。弥生時代になると、丸木舟を土台としてその上部に部材を足して大型化を図った「準構造船」が造られるようになりました。

 宝塚古墳が造られた、およそ1600年前の古墳時代中期にも準構造船が使われていました。この船は、大きな波も乗り越えられるように船首と船尾が大きくせりあがった形をしており、波の荒い外海での航海も可能でした。船を進める艪(ろ)を差し込むピボットは、左右3対ずつ計6ヵ所あり、艪穴は一定方向に開けられており、船が進む方向もわかりました。ただし、宝塚1号墳の船は船首・船尾のせりあがりが極端であること、ピボットの数が少ないこと、船体中央に立てられた飾りも大きくつくられていることなどから、実際の船の形を忠実に再現したものではありませんが、当時使われていた船の構造などを研究する上で貴重な資料であるといえるでしょう。

準構造船

はにわ館へのアクセス

松阪駅から

鈴の音バス「市街地循環線 左回り」乗車 約10分『クラギ文化ホール』下車すぐ

市街地循環線時刻表(平日) [PDFファイル/625KB] 市街地循環線時刻表(土日 祝日 年末年始) [PDFファイル/475KB]

三重交通バス「松阪中央病院行き」乗車 約10分『文化会館』下車徒歩5分

タクシー 約10分

伊勢自動車道松阪インターから

 車で約10分

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