代々受け継がれてきた伝統の技術。
家族同様に牛を育てる中から生まれた至高の肥育方法。
回を重ねるごとに切磋琢磨され、農家の腕に磨きがかかり、
肉質は言うに及ばず、その牛の容姿にも気品の高さが現れます。
まさに「こだわり」のなせる業でしょう。
この『牛飼い匠』たちの技の競い合いが、「松阪牛の女王」を決める、
年に一度の大イベント『松阪肉牛共進会』です。
【松阪肉牛共進会の様子】
松阪肉牛共進会は、昭和24年(1949年)に飯南郡花岡町大黒田(現在の松阪市大黒田町)の
家畜市場で第1回が開催されたのがはじまりで、
平成28年現在で第67回を数える、歴史と伝統がある共進会(牛のコンテスト)です。
一般的に肉牛の共進会といえば、枝肉(と畜された後の肉)での開催が主流ですが、
松阪肉牛共進会は全国的にも珍しい生体(生きている牛)での開催です。
現在松阪肉牛共進会は、松阪市、関係市町、関係農協、松阪地方家畜商業協同組合、
松阪肉事業組合、全農三重県本部、松阪牛協議会の共催で行なわれています。
毎年10月下旬に予選会が行われ、肥育農家の手によって
二年半以上の長きにわたって手塩にかけて育て上げられた特産松阪牛の中から、
選び抜かれた優秀な50頭の特産松阪牛だけが、
11月末に開催する本選会に出場することが許されるのです。
本選ではこの選び抜かれ、この日のためにピカピカに仕上げられた
特産松阪牛50頭が勢ぞろいし、多くの一般の観客に見守られ、
厳かな雰囲気の中、専門家による厳格な審査が行われ、
その年の女王にあたる優秀賞一席が決められ、
その牛の肥育農家は歓喜と祝福に包まれます。
【審査の様子】
続いて行われるセリ市では、優秀賞1席に輝いた松阪牛の落札価格が
この時期の風物詩として、毎年マスコミに取り上げられ報道されます。
松阪牛の過去最高価格は、多気町の宮東功氏が肥育した
第53回(2002年)の「よしとよ」号で、
津市の業者が5,000万円という高値で落札しました。
このセリ市も一般の観客が自由に観覧できるため、毎年多くの方が
これを目当てに来られ、セリ値が上がるたびに歓声や拍手が
沸き起こるのも松阪肉牛共進会ならではの光景です。
【せり風景】
この日は肥育農家にとって、まさに農家人生の集大成であり、晴れ舞台。
松阪牛と二人三脚で歩む『牛飼い匠』たちの人生を是非感じ取ってください。
【第67回松阪肉牛共進会優秀賞一席(平成28年11月27日)】