酸臭や血液臭、体液臭を主とする生肉臭で、香りは弱く、
牛肉のタタキや鶏肉の刺身などの味を引き立てます。
肉を煮た時発生する香りです。
構成要素
肉を焼いた時発生する香りです。
構成要素
牛肉・豚肉など、種類を判別できる香りで、美味しさをさらに楽しめます。
動物の雄と雌の違いに基づくにおい。
牧草で飼育した牛の肉に草のにおいがするなど、飼料に由来するにおいです。
と畜直後から始まる硬直が解けて肉が柔らかくなるのが熟成で、味や香りが向上します。
牛肉の多くは、と畜後10~14日で市販されます。
和牛の中には、1~2ヶ月の長期熟成で美味しさを充分に発現させたものもあります。
熟成生肉の香りで、ミルク臭に似ています。
タルタルステーキなどの生牛肉料理の美味しさに関係しますが、
加熱した後には余り残りません。
100℃以下で加熱(煮る・ゆでるなど)して食べた時感じる熟成牛肉に特有の香りです。
生肉にはない、動物系の脂っぽい香りです。
ボイル肉香気の一つで、和牛香はこの香りの仲間に入ります。
ステーキや焼肉など、100℃以上に加熱した時生成する、香ばしい焙焼香気です。
ロースト肉香気の一つです。
2~3ヶ月熟成した牛肉を加熱して食べた時に感じられる、味噌漬牛肉に似た香りです。
和牛香は生鮮香気ではないため、生肉では感じられません。
調理して熱を加えると加熱香気として生成するようになります。
薄切りした黒毛和牛肉(以下「和牛肉」と呼ぶ)を1パーセント食塩水中で
2分間加熱すると、和牛香生成の状況がわかります。
40℃ではほとんど無く、60℃ではかなり多く、80℃で最も多くなりました。
100℃では逆に減少し、40℃の時と同じくらいでしたが、
真空包装した場合は60℃の時と同じくらい認められました。
これは、高温になると和牛香が逃げやすくなるためで、
80℃で2分の加熱が最適生成条件であることがわかります。
次に、和牛香がどんな成分で成り立っているかを知るために、
和牛肉とオーストラリア産牛肉から連続水蒸気蒸留法で香り成分混合物を取り出し、
それをガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー-質量分析計、
ガスクロマトグラフィー-においかぎ法(分離して出てくる成分の香りの質を鼻で嗅いで判定する方法。図1)で分析しました。
ガスクロマトグラフィーで得られた分離成分のグラフの一例は図2のようです。
すべてをまとめると以下のようになりました。
和牛での香りの強さの順位 | 成分名 | 検出量 | 香りの質 | ||
---|---|---|---|---|---|
和牛 | 量の多少 | 豪州産牛 | |||
1位 | ガンマ‐ノナラクトン | 多い | > | わずか | ココナッツ様 |
2位 | ガンマ‐デカラクトン | 多い | > | 無し | 桃様、 ココナッツ様 |
2位 | デルタ‐デカラクトン | 多い | > | わずか | 桃様、ミルク臭 |
3位 | デルタ‐ウンデカラクトン | 多い | > | わずか | 桃様、 ココナッツ様 |
4位 | ガンマ‐ドデカラクトン | わずか | > | 無し | 桃様 |
和牛での香りの強さの順位 | 成分名 | 検出量 | 香りの質 | ||
---|---|---|---|---|---|
和牛 | 量の多少 | 豪州産牛 | |||
1位 | デカナール | 多い | > | 多い | オレンジ様、 レモングラス様 |
1位 | プロビオン酸ヘキシル | 多い | > | わずか | 梨様 |
2位 | 2-トリデカノン | 多い | > | 多い | 果物様、 ワックス様 |
和牛での香りの強さの順位 | 成分名 | 検出量 | 香りの質 | ||
---|---|---|---|---|---|
和牛 | 量の多少 | 豪州産牛 | |||
1位 | ジアセチル | 多い | > | 多い | バター様、発酵臭 |
1位 | アセトイン | 多い | > | 多い | バター様、脂臭い |
1位 | E-2-ノネナール | 多い | > | 多い | グリーン、柑橘様、脂臭い |
2位 | d-リモネン | 多い | > | 多い | 柑橘様、脂臭い |
2位 | E-2-オクテナール | 多い | > | 多い | グリーン、柑橘様、脂臭い |
2位 | ヘキサン酸 | 多い | > | 多い | グリーン、脂臭い |
和牛での香りの強さの順位 | 成分名 | 検出量 | 香りの質 | ||
---|---|---|---|---|---|
和牛 | 量の多少 | 豪州産牛 | |||
1位 | ヘキサナール | 多い | > | 多い | グリーン、りんご様、花様 |
2位 | E-2-ノネナール | 多い | > | 多い | グリーン、柑橘様、脂臭い |
2位 | (E,E)-2,4-ノナジエナール | 多い | > | 多い | グリーン、金属臭 |
3位 | ノナナール | 多い | > | 多い | 松葉様 |
これらの結果から和牛香は多くの香り成分で成り立っており、
特徴的な甘さとコクには、5種のラクトンとコクのある脂っぽい香り成分が欠かせないものであると考えられます。
また、和牛香は肉を100℃以上で焼くよりは100℃以下で煮たときに強く感じられますので、
和牛肉はすき焼きやしゃぶしゃぶにすると、特有の美味しさが際だって感じられます。
輸入肉はステーキのように、焼いた時に香ばしい香りを多量に出し、美味しさが増すのが特徴です。