本文
48-88
脇差 銘勢州松坂住兼房作
(わきざし めいせいしゅうまつざかじゅうかねふささく)
市指定有形文化財
平造(ひらづく)り、庵棟(いおりむね)で刀身に「広立大明神御宝物」と切り付けてある。身幅の広い脇差である。地鉄の鍛えは小板目(こいため)に柾(まさ)ごころが交り地沸(じにえ)がついて白気(しらけ)がある。刃文(はもん)は焼幅の広い大五(ぐ)の目乱(めみだれ)である。この脇差は打ちおろしのまま神社に奉納され、昭和52年まで錆身(さびみ)のままであったが、研磨(とぎ)に出したところ、見事な刃文、地鉄が現れた。
銘にある兼房は美濃国関出身の刀鍛冶で、蒲生氏郷が松ケ島在城時には城下に居住し、松坂城入城後は鍛治町(かじまち)に移住した。