本文
49-91
木造増長天立像
(もくぞうぞうちょうてんりゅうぞう)
市指定有形文化財
本尊の右側の像で、持国天立像と法量・材質・造形感覚がきわめて類似し、もともと一具として造られたものであろう。両像は顔の方向、手の動作、腰のひねりに相呼応するものがあって、四天王像のうち2体が残ったものと考えるより、当初より二天彫像として造られたものではなかろうか。プロポーションは持国天立像とかわりないが、口を阿形に開き、眉尻をつり上げた憤怒相もどこかにおかしさを秘め、腹部の太帯をかむ獅噛(しがみ)の大きな顔の彫出にも滑稽さを伴う。
全体の相好、構造、造形手法から持国天立像とともに本像は、本尊と同時期の平安時代初期の作と推定される。