本文
嬉野管内
133-220
八田城跡
(はったじょうあと)
市指定史跡
八田城跡は雲出川の支流、中村川の南側の標高約58mの丘陵突端部にある。城跡の北側にある八田集落の平地からは、約34mの高さである。中村川流域の各地区には、下流に天花寺城、堀之内城、小川城(中川)があり、上流に釜生田城、森本城、滝之川城がある。その中でも八田城は、釜生田城、森本城、滝之川城とともに、城跡の全域が残っていて、全体の形状がよくわかる。
城跡は土塁に囲まれた主郭を中心にして、東と北に小郭がある。主郭の出入り口は東と南にあり、南の狭い谷に井戸跡がある。更にその南の尾根筋にも東と西に掘切があり、城の範囲が広がる。
八田城についての同時代の史料は見当たらない。近世の地誌である『勢陽五鈴遺響』には、大多和兵部少輔が居たとし、明治年間作成の地誌をまとめたと思われる『伊勢名勝志』には、大多和氏の前身、三浦氏の築城とする。