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平成29年度当初予算提案説明における基本的な考え方について

ページID:0109769 更新日:2017年2月16日更新 印刷ページ表示

 平成29年2月定例会におきまして、平成29年度当初予算などの議案を提案するにあたり基本となる私の考え方を述べさせていただきます。

 平成27年10月に市民の皆様の負託を受け、市長に就任させていただいてから1年4か月が過ぎました。この間、行政は「誰のため、何のため」なのかという初心をひと時も忘れることなく市政の運営に全力を尽くしてきました。引き続きより良い行政サービスを市民の皆様に提供し、松阪市の更なる発展に向けて全力で取り組んでいきますので、ご支援、ご協力頂きますようお願いいたします。

 昨年11月定例会におきまして、松阪市の新しいまちづくりの方向性を定める総合計画を可決いただいたところですが、その将来像である「ここに住んで良かった・・・みんな大好き松阪市」の実現に向けて総合計画に掲げる施策を着実に実行していきます。総合計画は、市民懇談会や市民意識調査等により市民の意見を十分反映し策定したものですが、その計画が着実に実行されているかどうかを客観的に測る目安とするため、数値目標を設定しました。そして、各種事業がその数値目標に対してきちんと結果を出しているか、また市民ニーズに応えたものとなっているか等を明らかにするため、事業に対する評価とその見直しを行う評価システム作りを行っていきます。また、少子高齢、人口減少という社会情勢に対応した行政サービス提供のため、行政事業の選択と集中を行いながら重点プロジェクトを中心にしっかり取り組んでいきます。

 このような取組を確実に進めるため、平成29年4月1日からの新しい組織体制では新たな行政課題の解決や市政の発展に十分機能するよう、適正な人員配置や各組織の事務所の配置についても配慮しながら、市民の皆様にわかりやすく横断的に機能できる体制を構築します。
 また、総合計画を策定した昨年は、市内26か所で市民懇談会を実施し、市民の皆様と対話しながら新しいまちづくりの方向性を定めてきました。平成29年度も市内30か所で市民懇談会を実施し、地域の拠点でもある小中学校の施設整備や地域課題等について市民の皆様と対話しながら市政運営を進めていきます。
 行政が毎日同じ仕事を続けていくようでは、まちは萎んでいきます。新しい一歩を踏み出し、やっと現状維持です。市民ニーズは何か、そのニーズに応えるために何をするかを真剣に考え、新たな気持ちでチャレンジする精神で、更に一歩進める政策を創る1年としていきます。

 平成29年度予算は、公約の「子育て一番宣言!」の実現を図るとともに行政として新しい一歩を踏み出すための予算です。既存の行政サービスを見直し、新しい公共の形を市民の皆様とともに創っていきたいと考えています。
 中でも、特徴的な新しい3つの取組があります。1つ目は、民間事業者との共同出資により新電力事業を実施する新会社を設立します。これは、エネルギーの地産地消や再生可能エネルギーの効率的な利活用による低炭素社会の実現などを目的に、新たなエネルギー政策として打ち出すもので、松阪市クリーンセンター等の地域の再生可能エネルギーで発電された電力や卸電力取引市場から電力を調達し、市の公共施設等に供給することで施設の電気料金を削減していきます。また、新電力事業により得られた事業利益を地域環境の好循環に貢献する事業に活用していきます。
 2つ目は、市内中小企業への新しい支援を始めます。公開審査により選定された中小企業1社に寄り添い、新たな製品の試作から実証、最終製品の販路拡大まで企業の一連の事業活動を切れ目なく支援し、中小企業の経営力と売上の向上につなげ、市内産業の活性化を図っていきます。
 3つ目は、松阪公民館の民間商業施設への移転です。現在の松阪公民館は、施設の老朽化や耐震面の課題に加えて、慢性的な駐車場不足という従来からの課題があり、利用者や周辺住民からこれらの課題解消が求められています。このため、松阪公民館を民間商業施設内に移転し、民間商業施設と公民館に求められる役割と機能が相互に発揮できるよう、公民それぞれの施設の機能集約による集客効果や公民館活動の活性化と従来からの課題解消を図っていきます。この取組は、市民に身近な行政サービスを、民間施設を活用して提供するという本市の公民連携の新たなスタイルであります。
 こうした様々な取組をきっかけとして、既存の行政サービスのあり方や枠組みについて見直し、新しい公共の形を創造するとともに、市民の皆様に新しいサービスを提供していきたいと考えています。

 財政については、合併後10年を経た普通交付税の減少、社会保障関連経費や老朽化施設の更新費用の増加などに対応していくため、これまで慎重な財政運営に努める中で、臨時財政対策債の発行抑制や既存基金の見直しによる公共施設マネジメント基金の創設を行うなど、その対応にも一定の目途が立ってきました。
 今後は、本来あるべき姿の「収支均衡のとれた財政運営」への転換を図っていきます。もちろん、就任当初に申し上げた「市の借金を増やさない」という考え方は堅持し、決算ベースでの市債残高を注視しつつ、最大限の努力を行っていきます。
 平成29年度当初予算においては、これまでの年間総合予算の取組を更に進め、年度内に想定され得る新規事業や扶助費の追加分を当初予算で計上する一方、補正予算では災害復旧等、特に緊要なものを除き原則計上しないこととします。
 また、市として有利な合併特例事業債の発行期限が平成31年度に迫る中、将来的な市の財政負担軽減を考慮し、今後3年間は、鎌田中学校、図書館、北部学校給食センターなどの大規模事業についても着実に進めていきます。
 こうした結果、平成29年度当初予算の規模は、これまでより大きなものとなりますが、補正予算も含めた年間トータルでの財政収支や中期財政見通しを踏まえた中期的な財政収支を念頭に置き、「収支均衡のとれた財政運営」を行っていきます。

 それでは、平成29年度に取り組む主な事業について、総合計画「住みやすさ進行中!バージョンアップ松阪」の基本構想に掲げる7つの政策に沿ってご説明させていただきますが、平成29年度予算は2つの特徴があります。まず、総合計画についてスピード感を持って推進していくため、「総合計画推進特別枠」を設け、実施計画に掲げた重点プロジェクトなどへの重点配分を行いました。次に、行政事業の総点検による事務事業の見直しにより、一般会計で約1,000事業あったものを約870事業に再構築し、既存事業の効率化を図りました。
 市長に就任させていただいてから1年4か月が過ぎ、これまで蒔いてきた種がようやく芽吹き始めてきたところでもあります。この芽を大切に育て、花を咲かせることができるよう職員とともに知恵を絞って様々な施策に取り組む挑戦をしていきます。

 7つの政策の第1は、「輝く子どもたち」です。
 松阪市の将来を担う子どもたちが元気に育ち、学ぶことができる環境を整え、「子育てをするなら松阪」と言われるまちづくりを進めます。
 4月からの新しい行政組織において、公約である、こども局を市長部局に創設し、幼稚園に関する事務を含めた就学前児童に係る事務等の一元化を行います。一方、就学後の放課後児童クラブの事務を教育委員会事務局に移管し、子どもに係る事務を就学前後で整理し、子育て施策の充実を図っていきます。
 平成29年4月に開設する新健康センター「はるる」に看護師の「はるるコンシェルジュ」と保育士の「子育てコンシェルジュ」を配置するほか、新米ママ教室を新たに実施し、妊娠から出産、子育て期にわたる途切れのない支援を行う松阪版ネウボラを推進します。
 子育て支援の新たな取組として、市外から転入し三世代の同居や近居を始める世帯に対して、住宅の取得、増改築等に係る費用の一部を支援します。また、小学生以下の病気の児童を小児科併設施設において一時的に保育する病児・病後児保育を現在の1か所から平成30年度に2か所で実施できるよう施設の整備を支援します。
 待機児童解消のため、平成29年4月から三雲管内に新たに私立認可保育園を開設するとともに、平成30年4月の開園を目指して本庁管内の既存私立認可保育園の移転改築を支援し、定員増を図っていきます。また、「松阪市立幼稚園・保育園あり方基本方針」に基づき、老朽化が進む春日保育園を移転改築します。
 不足している保育士の確保対策として、保育士等養成施設を卒業後に市内の認可保育園等において働きたいという意欲を持った学生を対象に、修学資金の貸付事業を新たに始める準備をします。加えて、私立認可保育園で経験年数に応じた保育士への勤続報奨金と市外から転入し就職する保育士への一時金を支給する社会福祉法人に補助金を交付することにより、人材の確保と定着を図ります。
 放課後児童クラブについては、射和小学校区に新しいクラブを開設するとともに、放課後児童クラブの運営方法を保護者会への委託方式から補助方式へ変更し運営の柔軟性を図ります。合わせて、クラブを運営している保護者会の事務負担を軽減するため、税理士・社会保険労務士への業務委託を支援します。
 学校教育の充実では、新たに郷土の偉人の教材冊子「三井高利」を作成し、偉人たちの「夢」への営みについての学びを広げ、郷土に対する誇りと愛着を更に深めていきます。学力向上に向けては、授業改善策や各学校の実態に合った補充学習の好事例等を各学校に示しながら、児童生徒の安定した学力の定着を図ります。また、幼稚園、小学校、中学校施設における空調機器等導入の是非に関する検討を行う教室環境対策検討委員会を設置し、有識者の専門的な知見や保護者、市民等の意見を基に今後の学校施設における空調機器等の整備に関する検討を行っていきます。

 政策の第2は、「いつまでもいきいきと」です。
 市民が日頃から心身を大切にし、生涯を通じて健やかな暮らしを維持できるように医療や福祉サービスを充実します。
 新健康センター「はるる」では、健康診査や健康相談等の保健活動と一次救急医療の拠点施設という機能を強化するとともに、誰もが気軽に立ち寄り、ふれあいや交流ができる「人を中心」とした施設をコンセプトに、市民の健康づくりを進めていきます。休日夜間応急診療体制については、松阪地区医師会等と引き続き連携する中で、現在の金曜日、土曜日に加えて火曜日の深夜帯に受診できるよう日数を増やすなど、年間を通じて休日・夜間における安定した一次救急診療を実施します。
 将来的に切れ目のない医療提供体制の実現に向けて、三重県が3月に策定する三重県地域医療構想を踏まえ、庁内に地域医療のあり方を検討するプロジェクトチームを設置するとともに、外部有識者による検討委員会を立ち上げ、松阪地域における医療機能の分化・連携、病院経営形態等のあり方を検討していきます。
 生活困窮者自立支援対策については、これまでの自立支援事業に加えて経済的に困窮している世帯の子どもを対象に学習支援を開始するとともに、一般就労をためらっている方の社会的自立に向けた支援を行っていきます。

 政策の第3は、「活力ある産業」です。
 地域の特性を生かした様々な産業の更なる活性化を図り、併せて新たな産業の創出を促進することや企業の誘致・連携を進めます。
 市内産業がより活性化するよう、産業支援の総合窓口となる産業支援センターを開設し、商品開発や販路拡大等の様々な事業課題を抱える市内商工業事業者の課題解決に向けて、関係機関と連携し支援していきます。
 雇用対策については、産業振興や企業誘致戦略により新たな雇用の場の創出に取り組むとともに、三重労働局と雇用対策協定を締結し、障がい者や高齢者、子育て中の方のための職業相談・職業紹介窓口を市役所内に設置します。
 林業については、市内製材工場の販路拡大等を促進するため林業支援センターを新たに設置します。県内外のハウスメーカーや工務店、商業施設等を中心に地域材製品の営業活動を行い地域材の安定供給システムを確立することで、素材生産量の増大に取り組みます。
 観光については、まちなかに点在している観光資源の更なる魅力化を図るため、まち歩きの出発点を担う観光交流拠点施設を整備し、観光客のニーズにあった情報発信やガイダンスを行い、回遊性の促進や滞在時間の拡大を図ります。

 政策の第4は、「人と地域の頑張る力」です。
 市民が松阪市に住み続けていくためには、自分たちが住んでいる地域のことを良く知り、地域に対する誇りや愛着を持つことが大切です。地域の良さが十分に発揮され、地域の一体感が生まれるまちづくりを進めます。
 住民協議会による地域主体のまちづくりがスタートしてから6年目を迎えます。これまで、住民協議会や自治会、公民館等との関係についてその役割が明確でなく、わかりにくいというご指摘も多くある中で、地域や行政内部の仕組みを整えられるよう、地域の各種団体等と協議・検討を重ね、平成29年度中に一定の方向性を示していきます。
 平成30年2月に松浦武四郎の生誕200年のメモリアルイヤーを迎えます。また、松浦武四郎の提案に基づき蝦夷地が北海道に改称されてから150年目の節目を迎える記念すべき年でもあります。これを全国に武四郎をPRする絶好の機会ととらえ、三重県や北海道とも連携・協力しながら記念事業を実施します。
 旧長谷川邸については、フリー公開日数を増やしより多くの方に文化財としての価値や魅力を伝えていきます。

 政策の第5は、「安全・安心な生活」です。
 市民や関係機関、団体等と連携し、市民がより安全・安心に生活を送ることができるまちづくりを進めます。
 平成28年3月に実施した総合計画策定に関する市民意識調査によると、市民は安全・安心に生活が送れることを特に重要視しています。東日本大震災や熊本地震等、過去の大規模災害発生時の検証結果を踏まえ、防災対策行動の基本となる地域防災計画を抜本的に見直すとともに、市民一人ひとりの防災意識の高揚と地域防災力の向上を図るため、引き続き防災啓発等に重点を置き、災害に強い安全なまちづくりを目指します。
 床上浸水対策では、浸水被害が連続して発生している地域を対象に早期に効果が発揮されるよう、三重県と連携し「床上浸水ゼロ」を目指した浸水被害軽減対策を推進するとともに、排水路整備事業にも着手します。

 政策の第6は、「快適な生活」です。
 環境に優しいまちづくりを進めるとともに道路・公園や上下水道等の市民が生活する上で必要不可欠な都市基盤の整備を進めます。
 空家等の対策については、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生等の面で影響があることから、庁内に空家等対策にかかるプロジェクトチームを立ち上げ、空家等の利活用や空家等の所有者に対して適切な管理を促すような制度設計を進めます。
 都市計画マスタープランの見直しについては、平成28年度から着手していますが、社会経済状況等の変化に対応した松阪市全域の将来都市像や土地利用計画等についての方向性を示していきます。
 地域振興局管内において交付している地域づくり支援事業補助金は、全市的な統一を図るため単位自治会への交付を廃止する一方、特に、人口減少と高齢化が急速に進む中山間地域を対象に、地域コミュニティの連携や地域の活性化を支援する事業に対する補助金を新設し、中山間地域の活性化を図ります。

 政策の第7は、「市民のための市役所」です。
 経営感覚を持ちながら計画的な行財政運営を進め、市政への市民参画を促すとともに、更に市民にとって使いやすい市役所となるように努めます。
 平成30年2月にマイナンバーカードを利用して、全国のコンビニエンスストア店舗で住民票の写しや印鑑登録証明書等の各種証明書が取得できる、証明書コンビニ交付サービスを開始し、市民の皆様の利便性向上を図ります。また、結婚された夫婦に人生の節目となる大切なイベントに際して心を込めてお祝いするサービスを開始します。婚姻届提出時に、市内事業者から公募し選定した結婚記念品を贈るとともに、市役所内に記念撮影コーナーを設置し、届出時の楽しい思い出を作っていただくことで、市民の皆様との距離を縮め、より市役所に親近感を持ってもらえるよう努めていきます。

 以上、平成29年度の主な事業の概要を申し上げましたが、このほか市民生活や市民活動を支えるための様々な施策を着実に進めていきます。平成29年度は総合計画の第一歩を踏み出す年であることから、これまで以上に知恵と工夫を凝らし、市民の皆様との対話を基にスピード感を持って市政運営を行っていきますので、議員の皆様、市民の皆様の温かいご支援、ご協力を頂きますよう、よろしくお願いいたします。

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