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介護保険料は、3年ごとの介護保険計画の策定により見直しを行います。
3年間で必要な介護サービス費等は、現在(直近3か年)の推移から算出した要介護認定者数や介護サービスの利用率の動向をもとに、その傾向が今後も続くという前提で認定者数や介護サービス等を推計する「自然体推計」方法で算出します。その費用を第1号被保険者の所得等によって、だれにどれだけ負担いただくかを決めることが、介護保険料の設定です。
第8期介護保険料は、令和3年度から5年度までの介護サービス費等の推計をもとに、第1号被保険者が負担しなければならない費用(給付費等の23%相当)を算出して決定しました。
前期高齢者数は減少傾向にありますが、後期高齢者数は増加傾向にあります。市全体の人口は減少傾向となっており、高齢化率は年々増加し続けていきます。認定者数と認定率は、ほぼ横ばい状態です。
高齢者数と要介護等認定者数の推計、介護サービスを利用する量や人数の推計をもとに試算した総費用は、約553億円となりました。第7期(平成30~令和2年度)の約541億円と比較すると約12億円(2.2%)の増です。必要とされる費用総額が増加した主な理由は、後期高齢者人口の増加や施設整備の影響、また介護報酬の引上げなどによるものです。
介護保険料の財源は、50%を国・県・市の公費で、残りの50%を被保険者の保険料で負担します。この負担割合は、65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳の第2号被保険者の人数比率に基づき、3年ごとに見直しされています。第8期(令和3~5年度)第1号被保険者の負担割合は、第7期(平成30~令和2年度)から引き続き23%です。
基準額は次の算式で求めます。
➊3年間の介護サービス費等見込額約553億円に❷第1号被保険者の負担割合23%をかけた約127億円から、❸国の調整交付金と介護給付費支払準備基金を差し引くと約112億円となります。この約112億が、3年間の計画期間において保険料として確保が必要な額(保険料収納必要額)となり、これを、実際に納付される見込みの割合(99.05%)で割ります。最後に➍約113億円を3年間の計画期間における被保険者見込み人数❺140,431人で割ると、➏保険料基準額年額80,709円が算出されます。年額80,709円を月額(÷12か月)に直すと6,730円となります。
(例)松阪市で必要な介護保険サービス費総額…100万円/松阪市の第1号被保険者…23人の場合
この基準額をもとに、本人の所得等によって割合(料率)を決めます。
*保険料率(料率)…介護保険料額を算出するための基準額に乗ずる負担割合。
例えば、松阪市で必要な介護サービス費総額を100万円、松阪市の第1号被保険者23人と仮定すると、100万円×23%=23万円となり、この23万円が第1号被保険者全員で負担いただく金額です。これを第1号被保険者23人で割りますと、1万円となります。この基準額1万円に対し、本人の所得等によってどれだけ負担してもらうか、負担割合(料率)を決定します。
(例)基準額・・・10,000円/所得段階・・・5段階の場合
所得にかかわらず、全員が基準額×料率1.0とした場合、所得にかかわらず23人全員が等しく基準額1万円を負担するため、所得の少ない方の負担が大きくなります。(実際には、介護保険法上、所得額等に応じて区分を設定することが定められていますので、このような料率の設定はありません)
所得額に応じて、料率を表のように設定した場合、所得と料率を比例させており、1段階、2段階の所得の少ない方は基準額1万円を下回り、その分を所得の高い方で負担することになります。この例のように、8期計画では、低所得者の負担を軽減するため、所得段階と所得分布から、この保険料率の割合を調整し、低所得者に配慮しました。
介護保険料は、負担能力に応じた保険料賦課の観点から、世帯や本人の課税状況と本人の収入等により「所得段階」が区分され、所得段階ごとに保険料基準額に乗じる「負担割合」(保険料率)により決定されます。第8期介護保険料は、第7期計画における㋐基準額、所得段階を形成する㋑所得要件の一部を変更し、㋒負担割合はそのまま据え置きました。
*課税年金収入…市民税のかからない年金収入(障害年金や遺族が受けられる恩給や年金)を除いた、老齢・退職年金。
*合計所得金額…「収入」から「必要経費など」を控除した金額の合計で、扶養控除や医療費控除などの所得控除をする前の額。
3年間で必要な介護サービス費は、第7期と比べ約12億円増となる約553億円と見込みました。
支払準備基金を6億5千万円取り崩して財源に充てることにより、保険料上昇の抑制を図りましたが、第8期の基準額(年額)は、第7期79,680円と比べ、1,080円の増、年額80,760円としました。
課税層のうち、第8~9段階について国の基準所得金額の変更にあわせ、所得要件を一部変更しました。
これにより、第8段階~第9段階及び第9段階~第10段階の境界線上にある被保険者は、下位の所得段階に包括されることとなり、年間保険料が減額となります。
第7期計画から、引き続き、所得段階数・負担割合は据え置きとしました。
第7期計画で策定した14段階設定と、負担能力に応じて増率した保険料率を据え置きました。
【表1】