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三重県宝塚一号墳出土埴輪
(みえけんたからづかいちごうふんしゅつどはにわ)
国宝
宝塚1号墳は、墳丘111メートルを測る古墳時代中期前葉の前方後円墳である。平成11年に行われた発掘調査によって、主に船・囲・家など多数の形象埴輪が出土した。なかでも埴輪船は全長140センチ、高さ94センチを測る大形の埴輪で、遺存状態も極めて良好である。準構造船を模したその造形は、他例に抜きん出て精巧で、船上に大刀、威杖、蓋などの別造りの威儀具を立てることも特徴的である。通常知ることが難しい古墳時代の大形船の具体的な姿をよく表し、葬送祭祀を考えるうえでも他に例がない。また、埴輪囲・家は導水施設および湧水施設を模したものとみられ、古墳時代に行われた水に関わる祭祀を復元するうえで高い学術的価値を有する。