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向山古墳
(むかいやまこふん)
国指定史跡
向山古墳は中村川右岸の標高50mの丘陵端部頂に位置する前方後方墳である。墳丘は自然地形を利用し築造されている。測量調査で全長82.2m、前方部長35.4m、前方部幅36.4m、前方部高さ5.6m、後方部長46.0m、後方部幅40.0m、後方部高さ6.0mを測ることが確認された。墳丘は、表面観察では葺石(ふきいし)を伴い、壺形土器の出土が知られているが、現在では埴輪片などの散布は見られない。
古墳は1914年に発掘され、後方部中央に主軸に斜交する主体部が1基確認された。埋葬施設は粘土槨(ねんどかく)であり、槨をめぐって埴輪列が確認されている。
棺内からは3面の鏡、刀身1、車輪石3、石釧(いしくしろ)11、筒形石製品2が出土し、粘土槨外から槍身3が出土した。現在出土遺物は全て東京国立博物館に所蔵されている。鏡3面は、面径6.2cmの重圏文鏡(じゅうけんもんきょう)1面、面径6.9cmの内行花文鏡(ないこうかもんきょう)1面、変形獣帯鏡(へんけいじゅうたいきょう)1面である。車輪石、石釧は全て碧玉製(へきぎょくせい)である。
出土遺物などから、4世紀後半の古墳であると考えられる。