本文
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真生寺虚空蔵菩薩像
(しんしょうじこくうぞうぼさつぞう)
市指定有形文化財
六角の宝冠をいただき、右手は剣を垂直に立てて握り、左手は前方に屈臂(くっぴ)して掌上に宝珠を捧げる。顔は下向き加減で、目はほそくやさしく、頬はふくらみ、笑みをたたえる。肩張り、胴豊かで量感をもち、衣文は彫りが深く、かつ大きい。一木で内刳りはなく、膝前に横木を矧ぎつけている。もとは彩色像で、胡粉が各所に少し残り、宝冠と口に朱が認められる。像底に「康正三年丁丑三月廿三日 持住明斗」と墨書銘があり、造像時期のわかる仏像である。
なお、真生寺は天台真盛宗に属し、大倉山地蔵院を称し、もとは2km離れた大倉山中腹にあったが、織田信長の大河内城攻めのとき兵火にかかり、寛永2年(1625)頃、現在地へ移ったという寺伝をもつ。本堂は宝永2年(1705)に建築。墓地には天命・常保・大川などの蛸路の鋳物師の墓石が立ち並んでいる。