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常光坊谷4号墳出土品
(じょうこぼだに4ごうふんしゅつどひん)
県指定有形文化財
常光坊谷古墳群は、高地蔵古墳群(たかじぞうこふんぐん)から西へ300m離れた、谷へ突き出た丘陵斜面(きゅうりょうしゃめん)に位置する5基からなる古墳群であるが、そのうち4号墳は、径17.5mの円墳で周溝(しゅうこう)をもつ。昭和63年宅地造成に伴い発掘調査が行われ、その結果、円筒埴輪(えんとうはにわ)を巡らした木棺直葬(もっかんじきそう)の古墳と判明し、周溝の一画からは形象埴輪(けいしょうはにわ)片が多数出土した。円筒埴輪30、朝顔形埴輪(あさがおがたはにわ)4、形象埴輪10が完全な姿に復元され、主体部から出土の土や鉄器・紡垂車(ぼうすいしゃ)とともに指定された。特に形象埴輪は、人物5(男子2、巫女(みこ)3)・馬2・鶏2(雌雄各1)・家1と多彩なもので、これほどまとまった形象埴輪の出土は東海地方では珍しい。人物には入れ墨を入れたり、大きな髷(まげ)を結ったり、美豆良(みずら)を垂下したものがあって、古墳時代の風俗を知る上でも貴重な資料である。古墳は5世紀末頃に築造されたものと考えられる。なお、近くにあった同時期同規模の狼谷(おおかみだに)古墳からも人・馬・鳥・家等の埴輪片が出土している。