本文
19-55
絹本著色仏涅槃図
(けんぽんちゃくしょくぶつねはんず)
県指定有形文化財
仏涅槃図は娑羅双樹(さらそうじゅ)の下で釈迦(しゃか)が入滅する姿を描いた図であり、涅槃会(ねはんえ)の本尊像として多くの寺院で制作され、伝えられている。
本図は、横たわる釈迦と、その周囲で悲嘆号泣する菩薩や仏弟子、王侯などの人々と動物・鳥が描かれており、主要な人物には短冊形に名前が付されている。釈迦の着ている衣の文様が金泥(きんでい)で描かれているため、本図の制作年代は鎌倉時代と考えられる。鉢を包む風呂敷や、空に浮かぶ月は銀泥(ぎんでい)で描かれている。ほぼ全面に裏彩色(うらさいしき)が施され、色感ゆたかに表現されている。
鎌倉時代でも中期(13世紀)までに制作されたと考えられるもので、三重県内でも古い作例として大変貴重な絵画である。
龍華寺は曹洞宗養泉寺の末寺。もともと名庵寺と称したようであるが、正保(しょうほう)4年(1647)に今の寺号に改称されている。