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平成29年度課税分から適用される主な税制改正について
個人市民税と個人県民税をあわせて、一般的に個人住民税と呼ばれています。以下「住民税」と表記します。
平成29年度課税分から適用される住民税の主な改正点をお知らせします。
1.給与所得控除の見直し(上限の引き下げ)
給与所得控除の上限額が段階的に引き下げられることになりました。適用時期・上限額については下表のとおりです。
適用年度 | 平成26年度~ 平成28年度 |
平成29年度 | 平成30年度以降 |
---|---|---|---|
上限額が適用される 給与収入 |
1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
給与所得控除の上限額 | 245万円 | 230万円 | 220万円 |
2.日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付義務化
所得税の確定申告や個人住民税の申告等において、国外に居住する親族に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除または障害者控除の適用を受ける場合には、親族関係書類及び送金関係書類を添付または提示しなければならないこととされました。(なお、これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます。)
※ただし、給与等もしくは公的年金等の源泉徴収または給与等の年末調整の際に源泉徴収義務者に提出し、または提示したこれらの書類については、確定申告書や市民税・県民税申告書への添付は必要ありません。
親族関係書類について
「親族関係書類」とは、次の1または2のいずれかの書類で、国外居住親族が納税者の親族であることを証するものをいいます。
- 戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類及びその親族の旅券(パスポート)の写し
- 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類(その親族の氏名、生年月日及び住所または居所の記載があるものに限ります。)(戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書など)
送金関係書類について
「送金関係書類」とは、次の1または2の書類で、申告者がその年において国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。
- 金融機関の書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引により申告者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類(送金依頼書など)
- いわゆるクレジットカード発行会社の書類またはその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその申告者から受領した、または受領することとなることを明らかにする書類(クレジットカード利用明細書など)
3.金融所得課税の一本化
これまで公社債等については、利子・譲渡・償還によって課税の仕組みが異なっていましたが、平成25年度税制改正において、税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、異なる税率等の課税方式の均衡化を進める観点から、株式等の課税方式と同一化することとされました。
また、特定公社債等の利子及び譲渡損益並びに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間の繰越控除ができることとされました。
公社債の課税方式の変更
公社債については、特定公社債等と一般公社債等に区分した上で、課税方式が変更されます。
(補足)特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債などの一定の公社債をいいます。
特定公社債等 | 一般公社債等 |
---|---|
特定公社債等 | 特定公社債以外の公社債 |
公募公社債投資信託の受益権 | 私募公社債投資信託の受益権 |
証券投資信託以外の公募公社債投資信託の受益権 | 証券投資信託以外の私募公社債投資信託の受益権 |
特定目的信託の社債的受益権での公募のもの | 特定目的信託の社債的受益権での私募のもの |
- 特定公社債等の利子は、源泉分離課税(所得税15パーセント、住民税5パーセント)から申告分離課税(所得税15パーセント、住民税5パーセント)に統一されます。※源泉徴収あり特定口座は申告不要です。
- 一般公社債等の利子等については、原則20パーセントの源泉分離課税が維持されます。
- 特定公社債等の譲渡益については、非課税から20パーセントの申告分離課税に課税方法が変更されるとともに、税制上、上場株式等と同様な取扱いとされます。(損益通算、繰越控除が可能)
- 平成28年1月1日以後行う割引債の償還及び譲渡については、20パーセントの申告分離課税となります。平成27年12月31日以前に発行され償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、18パーセントの源泉分離課税(所得税18パーセント、住民税非課税)が維持されます。
現行 平成27年12月31日以前 | 改正後 平成28年1月1日以降 | |||
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内容 | 所得区分 | 公社債等 | 特定公社債等 | 一般公社債等 |
利息・ 利子 |
利子所得 | 源泉分離課税(申告不要) 20パーセント (所得税15パーセント、住民税5パーセント) |
申告分離課税 20パーセント (所得税15パーセント、住民税5パーセント) ※源泉徴収あり特定口座は申告不要 ※申告不要とした場合、譲渡損失との損益通算はできません。 |
源泉分離課税(申告不可) 20パーセント (所得税15パーセント、住民税5パーセント) |
売却益・ 譲渡損益 |
譲渡所得 | 非課税 | 譲渡所得として申告分離課税 20パーセント(所得税15パーセント、住民税5パーセント)※源泉徴収あり特定口座は申告不要 ※確定申告により3年間損失の繰越控除が可能 |
譲渡所得として申告分離課税 20パーセント(所得税15パーセント、住民税5パーセント) |
償還差益 | 雑所得 | 総合課税(所得税5~45パーセント超過累進税率、住民税10パーセント) ※割引債は発行時18パーセントの源泉分離課税(所得税18パーセント、住民税非課税) | ||
- (注意1)所得税においては、平成25年から平成49年までの間に生じる所得について、確定申告や源泉徴収の際には、表中の税率とは別に2.1パーセントの復興特別所得税が課されます。
- (注意2)平成28年1月1日から特定公社債等についても、特定口座で計算される所得の対象として受入れることができることとされました。
- (注意3)平成28年1月1日以降、特定公社債等の利子等については、利子割(住民税5パーセント)の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされます。
- (注意4)源泉徴収選択特定口座内の特定公社債等の譲渡所得として申告した場合、株式等譲渡所得割の課税対象とされます。
損益通算・繰越控除・分離課税制度の改組
従来可能であった「上場株式等」と「一般株式等(未上場株式等)」の間での損益通算ができなくなります。
平成28年1月からは、次の1と2の区分による別々の分離課税制度に改組されます。
区分 | 各区分内の損益通算 | 各区分内の繰越控除 | |
---|---|---|---|
1 | 特定公社債および上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税 (申告分離課税を選択された上場株式等の配当所得との損益通算も可能) |
できる | できる |
2 | 一般公社債等および一般株式等(未上場株式等)に係る譲渡所得等の分離課税 | できる | できない |
特定口座の手続、申告関係の手続
詳しくは、特定口座等を取扱う金融商品取引業者等、税務署にお問い合わせ下さい。
特定配当取得等および特定株式譲渡所得等の申告・課税方法について
特定配当所得等および特定株式譲渡所得等については、市民税・県民税の納税通知書が送達される日までに所得税等の確定申告と別に市民税・県民税申告をしていただくことにより、所得税と異なる課税方法(総合課税・申告分離課税・申告不要制度)を選択することができます。
したがって、例えば、所得税等の確定申告において上場株式等の配当所得等を総合課税で申告した場合でも、市民税・県民税において同所得等について申告不要制度を選択することができます。
詳しくは、市民税課市民税係へお問い合わせください。