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地球温暖化は、人間活動に伴って排出される二酸化炭素など温室効果ガスが増加することによって、地球全体の地表および大気の温度が上昇する現象で、人類の生活や生態系に深刻な影響を及ぼす重大な環境問題である。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次評価報告書(2007年)によると、21世紀末には現在より1.1℃~6.4℃気温が上昇し、海面は18cm~59cm上昇すると予測されている。
地球温暖化防止に関する国際的な対策が検討される中、1997年に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」において京都議定書が採択され、その中で日本については2008年から2012年までの期間に温室効果ガスの総排出量を1990年比で6%削減するという目標が定められた。
これを受け、わが国では「地球温暖化対策の推進に関する法律」(地球温暖化対策推進法)が平成11年(1999年)4月に施行され、地方公共団体においては、自らの事務および事業に関する温室効果ガス排出抑制のための実行計画策定と実施状況の公表が義務付けられた。
松阪市では、「松阪市環境基本条例」及び「松阪市環境基本計画」において、市が自ら率先して温室効果ガスの排出の抑制に努めることを明記し、旧松阪市において地球温暖化対策推進法に基づき平成12年(2000年)に策定した「松阪市地球温暖化対策率先実行計画(エコフィスアクションプログラムまつさか)」を、市町合併後の旧4町の施設にも対象範囲を拡げ、新たな目標を設定して取り組みを行っている。
この動きを受け、国の動きとして6%削減の達成に向けた具体性ある対策の全体像を示すべく「京都議定書目標達成計画」が2005年4月に策定され、地球温暖化対策の強化に取り組んでいる。また、都道府県及び市町村においても、先の計画に即して、事務及び事業において排出される温室効果ガスの排出削減のための計画(実行計画)を策定し、実行するとともに実施状況を公表すべきことが求められている。(「地球温暖化対策の推進に関する法律」第20条の3)
松阪市では、旧市時代の2000年に「松阪市地球温暖化対策率先実行計画(エコフィスアクションプログラムまつさか)」を策定し、事務および事業における温室効果ガス排出削減に向けた取り組みを行ってきた。2005年の市町合併後は旧4町の施設にも拡げ、新たな目標を設定した上で取り組みを行っている。
本計画は「地球温暖化対策の推進に関する法律」第20条の3に基づき、松阪市の事務・事業から排出される温室効果ガス排出量を削減するとともに、市民・事業者の行う地球温暖化防止に向けての自主的な取り組みを促進することを目的とする。
実行計画の対象範囲は、「推進・点検・実行体制図」にある各部局の事務及び事業とする。また、外部への委託等により実施するもので温室効果ガスの排出の抑制等の措置が可能なものについては、受託者等に対して、必要な排出抑制等の措置を講ずるよう要請するものとする。
本計画の計画期間は2012年(平成24年)度から2016年(平成28年)度の5年間とする。
組織の最高責任者を市長として、実行部門の統括責任者である環境管理責任者を環境部長とする。また、環境マネジメントシステム推進委員会を設置し、計画の見直し時における審議を行うとともに、各所属長を環境管理推進責任者として本計画を実施する。
項目 | 数値目標 | 内容 |
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市有施設等から排出される温室効果ガスの総排出量 | 6% | 市有施設および公用車等から排出される温室効果ガスの総排出量について平成22年度を基準に6%削減する。 |
単位面積当たりの電気使用量の削減 | 6% | 市有施設における電気の単位面積当たりの使用量を平成22年度を基準に6%削減する。 |
公用車等で使用する燃料使用量の削減 | 6% | 市有施設の冷暖房等及び公用車に使用する燃料の総使用量を平成22年度を基準に6%削減する。 |
単位面積当たりの水道使用量の削減 | 6% | 市有施設における水道の単位面積当たりの使用量を平成22年度を基準に6%削減する。 |
用紙類の使用量の削減 | 6% |
コピー用紙の使用量を平成22年度を基準に6%削減する。 |
環境に配慮した用紙類の購入 | コピー用紙は総合評価値80以上のものを、その他の用紙についてはできるだけ古紙配合率の高いものを購入する。 | |
公用車の導入台数に占める低燃費・低公害車の割合 | 100% | 導入予定の公用車(リースを含む)は、原則としてすべて低燃費・低公害車とする。 |
本計画の温室効果ガスの対象物質は、京都議定書に定められた6種類のガスのうち、市の施設から排出がないPFC、SF6を除く次の4種類のガスとする。
『松阪市地域新エネルギービジョン』(平成20年2月策定)では、地域レベルにおける地球温暖化対策の取り組みとして新エネルギーの導入の推進を基本方針として掲げ、主要導入プロジェクトとして、教育施設や公共施設への太陽光発電設備の導入を掲げている。太陽光発電により市有施設から排出される温室効果ガスを削減するだけでなく、身近に新エネルギーを活用したものを設置することによって、市民に新エネルギーに関する普及啓発を促し、市民の環境保全意識を一層高める効果も期待できる。また、災害時における独立電源を確保することにも繋がる。
このことから、教育施設や公共施設の改修や施設の更新にあたっては、太陽光発電設備の導入を検討するものとする。