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平成31年度当初予算提案説明における基本的な考え方について

ページID:0109626 更新日:2019年2月19日更新 印刷ページ表示

 平成31年2月定例会におきまして、平成31年度当初予算を提案するにあたり、基本となる私の考え方を述べさせていただきます。

 早いもので、市長として市政を担ってから、3年と4カ月が過ぎ、市長任期の最終年となる平成31年度は、市民の皆様に結果を求められる非常に重要な年度となります。
 私は市長就任以来、市民の皆様の思いを市政に反映し、選挙時にお約束した「7つの公約」を着実に実行していくこと、そしてその想いを変えることなく、何事にも果敢にチャレンジしてまいりました。
 また、「市役所は、市民のための総合サービス業」であることを職員との対話の中で徹底し、毎日同じ仕事をするのではなく、「誰のため、何のため」を真剣に考え、市民ニーズに迅速に対応するよう繰り返し伝えてきたところです。

 これまで市民の皆様にお約束した「7つの公約」について、少し振り返らせていただきます。

 1つ目の挑戦が、「子どもの学力向上」です。
 こども局を市長部局につくり、就学前と就学後の児童に係る事務を分けることによって、綿密な体制を整えました。
 そして、学力向上プロジェクトチームをつくり、授業の改善策などを議論しながら、きめ細やかな教育を行っているところです。
平成30年度の「全国学力・学習状況調査」では、全教科平均において、小学校では全国を上回り、中学校では全国との差が最も縮まる結果となりました。
 また、家庭の事情によって学力に格差がつかないよう、生活困窮世帯の小学6年生と中学生を対象に「学習室」をスタートさせました。
 さらには、本市における重要な課題懸案であった「幼稚園、小学校、中学校への空調設備と洋式トイレの整備」、「鎌田中学校の校舎改築」など、子どもたちが一日の大半を過ごす「学習環境」をより良いものに改めるとともに、本年9月の供用開始に向け、「北部学校給食センター」の整備を着実に進めています。

 2つ目の挑戦「スポーツをもっと楽しめるように」では、
 市長杯の競技種目を4種目から19種目に増やし、市民の競技力向上とともに、健康増進につながる市民スポーツの普及に努めてきました。
 さらには、松阪の魅力を全国に発信できるような「フルマラソン」の2020年度開催をめざし、「松阪市フルマラソン開催準備委員会」を設立し、具体的な調査・検討を進めているところです。
 また、松阪市総合運動公園内に、県内初となる公共スケートパークを、本年4月にオープンする予定です。

 3つ目の挑戦「安心して子育てができるように」については、
 「待機児童ゼロ」をめざし、私立認可保育園の新設や増改築を支援するとともに、老朽化した公立保育園の移転改築などを行った結果、市長就任時からこれまで、330人の保育定員を拡大しました。
 また、「保育園をつくっても保育士が集まらない」という現場の声を受け、保育士の職場環境の改善に取り組むとともに、保育士の復職支援や就職支援研修会の開催、さらには保育士養成施設で学ぶ学生に対して、修学資金の貸付を行うなど、不足している保育士の養成と確保に努めました。

 健康センター「はるる」と嬉野保健センターに、「子育て世代包括支援センター」を設置するとともに、「はるる」には、看護師と保育士の「コンシェルジュ」を配置するなど、妊娠から出産・子育て期にわたり途切れのない支援を行う「松阪版ネウボラ」をスタートさせました。
 また、妊婦健診や子どもの成長記録、予防接種の情報などを、スマートフォンで管理できる「子育て支援アプリ」を導入し、安心して子育てができる環境づくりに努めました。
 移住・定住の側面も含め、若者世帯が、親の支援を受けながら子育てができるよう、三世代「同居」や「近居」の支援を開始しました。
 さらには、子育てと就労の両立支援として、放課後児童クラブの活動支援に加え、保護者からも特に要望の高い「病児・病後児保育」を拡大するとともに、「一時預かり事業」をスタートさせました。

 4つ目の挑戦「地域を支える高齢者が元気な街」については、
 健康センター「はるる」で実施する「元気朝一体操」をはじめ、健康づくりや健康診査を推進するとともに、休日夜間応急診療所においても、松阪地区医師会等の協力を得て、土曜日の深夜帯を創設し、年間を通じて安定した「一次救急の診療体制」を確立しました。
 65歳以上の方が社会参加や地域活動を積極的に行うことで、ご自身の健康増進と介護予防を図り、地域がもっと元気になることをめざして、「お元気応援ポイント事業」をスタートさせました。
 また、高齢者の救命活動を素早く行えるよう、「救急医療情報キット」を一人暮らしの高齢者などに配布し、暮らしの安全・安心を進めました。
 子どもから大人まで誰もが知っていて、簡単に取り組めるラジオ体操に、松阪高校放送部の協力を得て“松阪弁”で号令をかける「ご当地ラジオ体操」を県内で初めて作りました。市民の皆様に“笑顔と健康”を届けたいと考えております。

 5つ目の挑戦「災害への準備を整える」については、
 東日本大震災等、過去の大規模災害時の検証結果を踏まえ、「地域防災計画」を抜本的に見直すとともに、「防災情報・被災者台帳システム」を導入するなど、発災直後の被災者支援に対応できる体制を確立しました。
 また、「津波避難計画」を取りまとめるとともに、津波避難困難地域の解消に向け、津波避難地域ごとに避難場所や避難経路などをまとめた「地区津波避難計画」の策定支援や津波避難ビルの指定など、「災害時の人的被害ゼロ」の実現に向けた取組を進めました。
 「床上浸水ゼロ」をめざした取組では、三重県との連携を強化し、三渡川、百々川下流部、名古須川、愛宕川流域の浸水被害解消・軽減に向けた具体的な実施計画を取りまとめました。なお、百々川中・上流部については、継続して検討を進めているところです。

 6つ目の挑戦「働く場所を増やす」については、
 市内の産業がより活性化するよう、産業支援の総合窓口となる「産業支援センター」を開設するとともに、ハローワークとの連携により職業紹介などを行う窓口「就労の広場」を市役所内に設置しました。
 世界最大の自動車プレス部品メーカーであるスペインの「ゲスタンプ」が、日本初となる新工場を嬉野工業団地に建設していただきました。本市に新しい会社が進出したのは、実に10年ぶりであり、その後も引き続き、上川工業団地に1社が進出し、さらには東京から2社が本社機能を移転していただくなど、雇用の拡大を期待しています。
 また、中小企業の育成支援として、市内企業1社を公開審査で選び、商品開発から販路開拓まで、資金面も含め支援する「中小企業ハンズオン支援」をスタートさせました。

 7つ目の挑戦「市民が使いやすい市役所」については、
 県内で初の取組となる「おくやみコーナー」を設置し、支援が必要な方々に寄り添ったサービスができるようになりました。
 さらには、マイナンバーカードを利用し、住民票等の各種証明書を全国のコンビニエンスストアで取得できる「証明書コンビニ交付サービス」をスタートさせました。
 財政的に有利な合併特例事業債について、全国160市町村長でつくる「合併特例債の再延長を求める首長会」の発起人の一人として、発行期限の再延長を求めてきた結果、5年延長する改正特例法が成立されました。

 また私は、「任期中の借金を増やさない」とお約束しており、就任前の「平成26年度末の市債残高」を念頭におき、特に、市債残高については、‟合併市”に与えられた有利な起債の「合併特例事業債」とともに、将来的に元利償還金の全額が普通交付税に算入される「臨時財政対策債」が大半を占めていることから、決算ベースで臨時財政対策債を除く市債の発行額を注視してきたところです。
 平成29年度決算におきましては、一般会計の市債残高が約458億円となり、平成26年度と比べ、約33億円減らすことができました。
 また、「臨時財政対策債を除く市債残高」については、平成26年度と比べますと、約311億円が約275億円となり、約36億円減らすことができました。
 さらには、財政調整基金の基金残高が、100億円を超えることとなり、平成26年度と比べ、約15億8,000万円を増額することができました。

 これまで多くの種をまきながら、その種が芽を出し始めた3年間であったと感じております。平成31年度予算は、その成果の芽をしっかり育て上げ、より大きな実を結ぶよう、「結びと創生の予算」として編成したところです。
 改めて、総合計画に掲げる10年後の将来像「ここに住んで良かった・・・みんな大好き松阪市」の実現に向け、皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それではまず、平成31年度当初予算編成にあたっての4つの視点を申し上げます。

 まずは、人口及び人口動態に対する視点です。すなわち、「若者定住と超高齢社会対策」です。
 日本全体では、平成22年から人口減少社会に突入しましたが、松阪市では、平成17年の168,973人をピークに減少に転じ、近年では、毎年約1,000人の人口減少が続いています。
 本年1月1日時点での本市の人口は164,568人で、うち65歳以上の高齢者人口は、47,759人となっています。高齢化率は29.0%となり、既に“超高齢社会”に突入している状況であります。
 長期的な人口減少の流れに歯止めをかけることは、決して容易ではありませんが、進学や就職のため転出が多くなっている「若者の流出」をいかにして防いでいくかが、直面する課題であると考えております。
 そこで昨年、転出超過が続く松阪市以南の5市10町を直接訪問し、「若者を地元に残す取組」あるいは「就職時にUターンさせる取組」への連携実施をお願いさせてもらいました。
 そして、本年2月6日には、本市を含め6市10町で構成する「南三重地域就労対策協議会」の設立総会が行われ、私が会長に選任されたところであり、今後、互いの特長や強みを生かして連携することで、様々な課題に向き合い、「地方から大都市への人の流れ」を少しでも変えていきたいと考えております。

 また、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年には、本市の人口は、国立社会保障・人口問題研究所によると155,235人、うち高齢者人口が48,665人となり、高齢化率は31.3%まで増加すると推測されています。
 超高齢社会は、確実に財政負担の増をもたらすのに対し、必要な財源が十分に見込めないという状況も予測されます。その時になって考えていくのではなく、今から10年先、20年先を見据えた取組を真剣に考えていく必要があります。
 そこで、これまで進めてきた高齢者施策の一層の推進を図りつつ、高齢者支援分野にとどまらず、健康や雇用、地域コミュニティの活性化など、基本的施策の枠を越え、横断的に取り組む課題を設定しながら、超高齢社会に向けた方向性を検討していくため、外部有識者等による「超高齢社会対策検討委員会」を設置し、検討結果を次期総合計画に反映させていきます。

 2つ目には、「削るべきところは削る」という視点です。
 今後、高齢化が進むことは“確かな未来”であり、将来世代に負担を先送りすることのない「持続可能な行財政運営」が不可欠になります。
 “選択と集中”の考え方のもと、優先順位をつけ、限りある予算を適正に配分し、真に必要な行政サービスを守るとともに、重要性・緊急性によって投資すべきは積極的に進めつつ、一方、投資しない部分を決断しながら、メリハリのある行財政運営を徹底していきます。
 そこで、公共下水道事業の全体計画区域について、住民意向調査も踏まえ、整備着手に数十年以上を要する「市街化調整区域」を中心に、人口予測や地理的条件などを基に見直しを行い、これにより整備期間が半減されるとともに、整備費用も推定ではありますが、少なくとも約520億円の削減が図れます。
 一方、「つり天井」となっている施設等については、市民の命を守るために、スピード感をもって必要な整備を実施していきます。

 3つ目は、行政の最大の使命である「市民の安全を守る」という視点です。
 具体的には、津波避難タワーの整備に向けた調査や重篤な犯罪被害者への緊急対策、そして市長就任以来、取り組んできた床上浸水対策の現地着工、さらには、高校生世代への医療費助成の拡大、各種ワクチン接種の助成を拡充するなど、市民の皆様の「安全で安心な生活」のための大きな一歩を踏み出していきます。

 4つ目は、政策評価の視点です。すなわち、PDCAサイクルにおける「施策の評価結果に基づく予算編成」です。
 総合計画の政策体系に基づく施策及び事業の実施状況や成果などを的確に評価し、事業の改善や“選択と集中”につなげていくため、平成29年度から取り組んできた「施策評価」の結果と平成31年度の当初予算を連動させる試みを始めました。
 評価結果に基づいた事業の“選択と集中”までには至らなかったものの、総合計画に示す「10年後のめざす姿」と「施策の数値目標」との整合性や「各事業の活動指標」との連動性が十分でないことも明らかになったところです。
 施策評価は、総合計画の進捗管理のほか、実施計画の策定や予算編成などに評価結果を反映させることで、事業の改善や“選択と集中”につながります。今後は施策評価の視点に立ち、その結果を予算編成に反映させていくことで、より良い「PDCAサイクルの仕組み」をめざしていきたいと考えております。

 平成31年度当初予算の編成にあたりましては、当初予算編成方針に併せ、この4つの視点を念頭におき、取り組みました。

 次に、本市の財政状況についてでありますが、歳入の根幹となる「市税」につきましては、地価の下落傾向が依然として続く状況ではありますが、雇用や所得環境の改善が図られ、個人消費や企業の設備投資も徐々に上向きとなっていることもあり、平成31年度の市民税、固定資産税など市税全体としては、218億2,537万円、前年度と比べ3.4%の増となり、3年ぶりの増収と見込んでいます。
 また、交付税におきましても、普通交付税が合併算定替の最終年度となり、減額分を2億円程度と見込むとともに、短期償還による加算分もあり、全体としては増額と見込んでいます。
 加えて、地方消費税交付金など各種交付金の多くも、前年度を上回る収入になると見込んでいます。
 さらに、ふるさと応援寄附金は、複数の納税サイトに登録し、多彩な本市の特産品を紹介するなど、様々な取組を行った結果、平成30年中に寄せられた寄附金が6億円を超えることとなり、新たな自主財源の確保に、明るい兆しが見える状況となりました。

 一方、歳出では、本年10月に消費税が10%に引き上げられる影響を考慮するとともに、公共下水道事業や介護保険事業への繰出金が増加しており、また、公共施設の維持管理経費や長寿命化・老朽化対策に関する設備の更新・調査に対する経費も大きくなる傾向です。

 平成31年度の一般会計の予算総額は、前年度と比べ40億8,238万8,000円、5.9%増の732億4,231万7,000円となり、前年度に引き続き、過去最大規模となりました。
 平成31年度は、以前から申しておりますように、3か年の集中投資期間の最終年度にあたります。特に、平成30年度から合併特例事業債を活用し、「幼稚園・小学校・中学校の空調整備」など教育施設を中心とする大型継続事業等に取り組んでまいりました。

 平成31年度予算規模が最も大きくなった要因は、公債費が合併特例事業債を短期間で償還する約43億円を含め、前年度の約2倍となる92億4,259万円を計上したことによるものです。
 なお、その短期償還分を除きますと、実質的に前年度より約2億5,000万円少ない予算規模となります。

 平成31年度当初予算編成にあたっては、引き続き、「健全な財政の範囲内で大胆に次世代への投資をしていく」ことを基本に据え、市債残高に注視しつつ、財政調整基金の活用や年間総合予算を通じ、年間トータルでの「収支均衡のとれた財政運営」を行ってまいります。

 それでは、平成31年度、新たに取り組む事業を中心に、総合計画に掲げる「7つの政策」に沿って、ご説明申し上げます。

 政策1は、「輝く子どもたち」です。

 子育て支援の推進としまして、未就学児の医療機関窓口での自己負担を、所得に応じて最大1,000円までの支払いに軽減します。
 同時に、こども医療費助成の対象を最も経済的負担感の高い「高校生世代」まで拡大し、子育て世帯のさらなる負担軽減を図ります。

 「松阪版ネウボラ」の充実としまして、「産婦健康診査」を開始し、産後うつの予防や育児の不安軽減につなげるなど、産後も安心して子育てができる支援体制を確保していきます。

 本年4月から、市内すべての公立幼稚園で3歳児保育を実施するとともに、3歳児の給食を開始します。
 また、「待機児童ゼロ」をめざした取組として、2020年度の開園に向け、3つの私立認可保育園の移転・改築などを支援していきます。
これにより市長就任時から、合計440人の定員増となります。
 さらには、私立認可保育園の保育士確保につなげる新たな取組として、「保育士の宿舎借り上げ」に係る支援や保育士の業務を補助するため、「地域住民や子育て経験者など多様な人材の活用」を支援するなど、保育現場の環境改善を図りつつ、保育士の確保を一層推進します。

 学校教育の充実については、新学習指導要領完全実施を見据え、英語教育に携わる指導助手を拡充するとともに、小学校における授業時間を増やしていくなど、英語教育の充実を図ります。
 また、特別な支援が必要な児童生徒に対し、学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行う「学校生活アシスタント」を増やし、支援をさらに充実していきます。

 市立図書館と連携し、小・中学校に司書を派遣する「学校読書室の支援」を一層進め、新たに天白小学校・宮前小学校・香肌小学校・飯高中学校の学校図書室を活用し、地域に開かれた図書室に整備するとともに、子どもたちの読書活動を支援していきます。
 放課後児童クラブについては、耐震設備のない小野江小学校区を新築移転するとともに、射和小学校区については、小学校の空き教室を活用し、改装することで、子どもたちの‟安全・安心な居場所づくり”に努めていきます。

 次に、政策2の「いつまでもいきいきと」です。

 健康づくりの推進としまして、1歳児から就学前の幼児を対象に、「おたふくかぜ」の予防接種に対する助成を新たに実施します。
 昨年「風しん」が全国的に流行したことを踏まえ、妊娠を希望する女性と配偶者などに対し、「風しんワクチン」の接種費用を助成します。

 松阪市民病院では、耐用年数を経過した「X線血管造影装置」などの医療機器の更新を図り、質の高い医療サービスの提供に努めます。
 現在、外部有識者を交え議論している「第2次 地域医療構想をふまえた松阪市民病院の在り方検討委員会」につきましては、三重県地域医療構想の動向を踏まえながら、引き続き検討を重ねていきます。

 本年4月に開館する新福祉会館については、松阪市社会福祉協議会、松阪保護司会、松阪市老人クラブ連合会事務局に加え、障害者相談支援事業を委託している“マーベル”や介護保険課認定調査審査係が移転し、市民の幅広い助け合いを積極的に実践する福祉施設として中心的役割を担っていきます。
 生活困窮者の自立支援については、子どもへの学習支援を通して、貧困の連鎖を断つため、福祉会館に加え、新たに嬉野地域に「学習室」を1か所増設します。

 超高齢社会が進み、認知症高齢者や独居等の高齢者が増える中、家族の支援が行き届かないケースが増え、多くのトラブルを生むことが懸念されることから、高齢者自身が元気なうちから、自身の気持ちや考えを整理し、残される家族や友人などに思いを伝えるツールとして「松阪市版エンディングノート」を作成します。

 市民の健康と生きがいづくり、そしてスポーツ交流の拠点となるスポーツ施設の安全性を確保するため、「ハートフルみくもスポーツ文化センター」と「松阪牛の里オーシャンファーム武道館」の天井改修工事を実施します。

 本年4月、総合運動公園にオープンする「スケートパーク」において、「全日本アマチュア選手権中部サーキット」の開催を予定しています。また、日本スケートボード協会公認のプロスケートボーダーによる「スケートボードスクール」を毎月1回開催するなど、スケートボード競技の普及を図っていきます。

 次に、政策3の「活力ある産業」です。

 特産松阪牛の女王を決定する「松阪肉牛共進会」が、第70回を迎える記念の年であり、同時開催する「松阪牛まつり」について、たくさんの方々にお越しいただけるよう、まつりの企画・運営の検討を行っていきます。
 農業の振興については、新規就農者への支援をはじめ、中山間地域での耕作放棄地対策に引き続き取り組んでまいります。

 今年4月にオープンする「豪商のまち松阪 観光交流センター」と「旧長谷川治郎兵衛家」、「旧小津清左衛門家」、「原田二郎旧宅」の4施設について、一体的な指定管理者制度を導入し、観光客の誘客を進めるとともに、文化財の「適切な保存」と「観光資源としての活用」を両立し、まちなかの魅力を向上することで、「まちなかの回遊性」を高めていきます。
 また本庁舎に設置する「地域Bwa基地局」を活用し、中心市街地における観光スポットなどに‟フリーWi-Fi”を提供し、観光情報を発信するなど、市民やまちなか観光客の利便性を高めていきます。

 林業の成長産業化を図りつつ、森林資源の適切な管理を両立していくため、国の新たな「森林経営管理制度」にあわせた森林環境譲与税を活用し、経営管理が行われていない森林について、市が仲介役となり森林所有者と担い手をつなぐシステムを構築していきます。

 次に、政策4の「人と地域の頑張る力」です。

 松阪市美術展覧会が第60回目の節目を迎えることから、これまでの歩みを市民とともに振り返る記念展覧会を開催します。また、江戸時代中期の絵師で松阪市にゆかりのある「曾我蕭白」(そがしょうはく)の特別展を行い、さらなる文化振興を図ります。

 生涯学習の推進としまして、老朽化が進んだ三雲・天白公民館を三雲地域振興局2階へ移転するとともに、三雲図書室を天白小学校に移設し、地域との連携をさらに強化していきます。
 第四公民館については、より地域との連携を強化するため、鎌田中学校の地域交流スペースに移転するための準備を進めていきます。
 また、松浦武四郎記念館と複合する小野江コミュニティセンターについては、記念館の来館者が増加する中、公民館活動の拠点を新たに「単独館」として整備するため、実施設計の策定に着手します。

 次に、政策5の「安全・安心な生活」です。

 昨年の夏は、全国的に記録的な猛暑と豪雨に見舞われるなど、大きな自然災害が相次ぎ、日本列島に甚大な被害をもたらしました。
 本市におきましても、4つの台風がこの地域を襲い、大規模な停電や土砂崩れなどが発生しました。特に台風24号の影響で発生した国道166号の全面通行止めは、約2か月間に及びました。
 今後、松阪においても「大災害がいつ起きてもおかしくない」、さらには「これまでの想定を超えることが生じかねない」ことを肝に銘じ、引き続き本市の防災体制と併せて、住民レベルでの災害対応を支援するなど、万全の備えを講じてまいります。
 新年度は、「津波避難対策基本方針」で指定した津波避難困難地域のうち、津波緊急一時避難ビルの指定が困難な「五主町」や「松名瀬町」について、津波避難タワーの整備に向けた用地調査や基本設計等を行います。

 犯罪被害に遭われた方やその家族の方たちが、平穏な日常生活を取り戻せるよう、被害の状況や日常生活への影響等に応じ、配食サービスや居室等の特殊清掃など適切に生活支援を行っていきます。

 空家対策について、空家等対策計画に基づき、空家の流通や利活用の促進を図る一方、適切な管理をされていない不良空家等の除却に係る費用を補助し、市民の安全・安心な生活の確保につなげていきます。

 総合雨水対策10か年戦略事業としまして、名古須川流域の床上浸水被害の解消と軽減に向けて、県と共同で河道掘削工事に着手するとともに、愛宕川流域においては、雨水管渠整備に向けた詳細設計に取りかかります。

 次に、政策6の「快適な生活」です。

 「良好な住環境」とスムーズな緊急時の避難、救助活動や消火活動など「まちの安全性」を確保するため、狭あい道路の解消を促進し、協力いただける方へ測量費等の補助を行うとともに、拡幅道路の整備を行います。

 現在の最終処分場の埋め立て残余量に陰りが見えてきたため、新たな処分場の建設に向けて、取り組みを進めていきます。

 中山間地域の振興については、「地域おこし協力隊」を積極的に募集し、実際に地域に入っていただき、地域資源を活用した体験イベント、情報発信などを通して、地域の活性化を図るとともに、移住・定住の促進に努めます。
 また、関西圏と松阪を結ぶ国道166号線を軸に、奈良県宇陀市や東吉野村との連携により「広域観光ルートマップ」を作成するなど、相互に交流人口の増加をめざした取組を開始します。

 中心市街地の玄関口である松阪駅西地区においては、「松阪駅西地区複合施設基本構想」における内容を基に、民間事業者へ参入意向や事業に対する意見、アイデアなどを把握する「ヒアリング調査」を行います。

 地域公共交通の充実に向けては、地域公共交通協議会での検討を踏まえ、コミュニティバス4路線の愛称を「鈴の音バス」に統一するとともに、市街地の中央を通る「幸中央線」を新たに設けます。
 また、地域の特性と実情に合った交通手段確保のため、虹が丘町が主体となって運営する「デマンド型タクシー」を支援していきます。

 最後、政策7は、「市民のための市役所」です。

 市政情報につきましては、新しく「自治体総合アプリ」を導入し、市民の皆様に直接的に情報を発信できる環境を整え、市民のニーズに合った情報をタイムリーに届けていきます。

 公共の建築物や建築設備による事故の発生を未然に防ぐため、建築基準法に基づく「12条点検」を計画的に実施していきます。
 また、公共施設の使用における「適正な受益者負担と税負担」のあり方について、外部有識者等で構成する「使用料等のあり方検討委員会」を設置し、本市の基本的な方針をまとめていきます。

 全市的な債権回収を進めるため、法的手続に係る費用を一括して計上するとともに、税外債権の延滞金を的確に計算し、徴収することができるよう延滞金計算システムの改修を行います。

 行政窓口については、転入や転出、婚姻や出生等といったライフイベントを中心に、「早く」、「簡単に」手続きいただけるよう「案内方法」や「サイン表示」など、市民の皆様にとって、より使いやすい市役所となるよう努めていきます。

 以上、平成31年度の主な事業について、概要を申し上げましたが、市長就任以来、市民の皆様と対話させていただいた「市民懇談会」は、100回を超えました。これからも市民の皆様の声に謙虚に耳を傾け、市政の運営に全力であたってまいります。
 また、予算の執行にあたっても、全職員が施策目標の達成に向けて常に目標意識を持って執行し、限られた財源で最大の効果をあげられるよう、効率的かつ効果的な執行に努めるなど、健全財政を堅持していきますので、議員の皆様、市民の皆様の温かいご支援、ご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 今回の平成31年度予算も新しい取組が数多く入っています。
 特に、人口減少対策としての若者定住と超高齢社会対策はすでに地方都市の難題となっており、持続可能な松阪市をめざして「ここに住んでよかった」と思っていただけるよう取組を進めていきたいと考えています。

 それには、様々な関係機関の協力と時間が必要になります。
 現に、人口減少対策としての若者就労支援への取組は、南三重の15の市町の首長の皆さんの信頼と協力があって初めて実現できるものです。
 また、超高齢社会対策は2年の年月をかけ、有識者を招いて議論をしていただき、次期総合計画に反映させようというものです。
 すなわち、こうした取組は平成31年度のみで収まりきらない事業展開が必要となっております。

 そこで、市民の代表機関である市議会のこの場で、次期市長選に再度挑戦することを表明いたします。
 引き続き松阪市政を担わせていただき、この2つの政策や子育て政策を継続していくとともに、1期4年では実現できなかった定量的評価による行政運営など、さらなる市政の改革に取り組んでいきたいと考えています。

 今後も、松阪市政の先頭に立って市民の皆様が「安全で安心な、活気のある松阪市」を感じていただけるよう努力をしてまいりたいと思います。

 私の胸には、生まれ育った松阪市に対する情熱の真っ赤なバラが燃えるように咲いていることを申し添え、再度の出馬表明とさせていただきます。

 平成31年2月19日

松阪市長 竹上 真人

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