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松阪市教育委員会事務局 スポーツ課
課長補佐兼マラソン係長事務取扱 川上 健一郎(かわかみ けんいちろう)さん
NPO法人Mブリッジ/三重県SDGs部会員 米山 哲司(よねやま さとし) さん
令和5年2月17日(金)に、SDGs×松阪市 オンライン講演会 第4回「スポーツとサステナブルなまちとは?―みえ松阪マラソンとまちの"これから"―」を開催いたしました。
登壇者の川上 健一郎さんからは、みえ松阪マラソン2022と、今後のみえ松阪マラソンと松阪のこれからについてお話をしていただきました。また引き続き米山 哲司さんに参加していただき、SDGsの視点からもまちの課題を紐解く手助けをしていただきました。
【登壇者 川上 健一郎さん】
皆さん、こんばんは。
皆さんが今参加していただいているSDGs×松阪市 オンライン講演会ですが、その前身である「まつさか若者クラブ」は私が以前担当をしていました。松阪市の総合計画に若者の声が反映されていないのではないかということで、なんとかして反映できないかと考え、始めたもので、今回の講演会でも、ぜひ皆さんの声を聞かせていただければと思います。
みえ松阪マラソンですが、コロナ禍で、長い間延期を余儀なくされていました。しかし、2年の時を経て、ようやく昨年開催することができました。延期がありながらも開催に至ったのは、やはり竹上市長の並々ならぬ想いがあったからだと思います。
みえ松阪マラソンの特徴ですが、まずは三重県唯一のフルマラソンであることです。47都道府県でフルマラソンを開催していないのが、三重県と福井県だけでした。2つ目は、スポーツイベントを通して市民の一体感の醸成に重きを置いているところです。フルマラソンほどの長い距離になると、長時間走り続けるランナーへのサポート、例えば、ランナーがエネルギー補給や水分補給をするためのエイドステーション等が必要です。そのため、今回多くの市民ボランティアの方に関わっていただきました。また、沿道で応援していただいた方も多く見えます。そういったランナー以外の方にも多く関わっていただくことで、みえ松阪マラソンを通して市民の一体感が醸成されると思っています。3つ目は、スポーツイベントでありながらシティプロモーションの一面もあるのが特徴です。みえ松阪マラソンは、松阪の歴史、文化、自然、食事といった松阪の魅力を発信していくツールでもあります。エイドステーションやフィニッシュ会場では、松阪の食事を楽しんでいただけるようになっていました。マラソンとともに、宿泊や食事を楽しんでもらい、今度は観光客として来ていただければと思っています。
当日の話をします。
当日は晴れてはいたものの、すごく冷たい風が吹き続けました。しかし、そんな天候にもかかわらず、完走率は97.5%という数字でした。主要マラソンの平均完走率が92%なので、これはすごく高い数字です。
大会の総参加人数(※スタッフ、沿道観覧者含む)は約70,000人でした。スタッフは4,000人以上です。市内だけでなく県内、愛知、京都、東京等からも来てもらっています。多くの皆様の協力には感謝しかありません。
マラソンの部への参加者の話をすると、インターネットでエントリーされた方が7,099人見えましたが、三重県在住の方が2,160人でそのうち松阪市在住が362人でした。後は、県外からエントリーされた方ということになります。今回は全国47都道府県からご参加いただのですが、実をいうと締め切り直前まで、大分県からの参加だけがありませんでした。なんとか全国から参加者を募りたいと思い、SNSを使って、大分県からの参加を徹底的に呼びかけました。その結果、大分県の方からもエントリーをしていただき、全国制覇を達成することができました。
みえ松阪マラソン2022では、コースの途中に様々な応援ポイントが設けられました。
(応援ポイントMAP)
https://mie-matsusaka-marathon.jp/wp-content/themes/mie-matsusaka-marathon/images/pdf/point.pdf
沿道からの大声援はもちろんですが、こういった応援ポイントでは多くの団体が独自の方法でランナーの方を応援していただきました。
エイドステーションである「まっつぁかうまいもんエイド」も好評でした。第9エイドの松阪牛サイコロステーキは100kgを用意したのですが、残念ながら食べられなかった方もいらっしゃったので、次回は増量をして臨みたいと思います。
フィニッシュ会場とアピタ会場の出店ブースも盛況で、当日の売り上げは800万円を超えました。これは大きな経済効果だと思います。
フルマラソンのようなイベントは、何より他所の大会にないオリジナリティが大事だと思います。例えば、今回の大会のトンネル内のプロジェクションマッピング等はオリジナリティがある取組だったと思います。何をしていけばよいか、どんなおもてなしが良いか、若い方からアイデアをいただければと思います。
ここから少し松阪市のスポーツとそれに関わる行政のお話をしたいと思います。
現在、松阪市には多くのスポーツ施設がありますが、全国大会ができるような施設は総合運動公園のスケートパークだけです。スポーツによる健康増進も大事ですが、トップアスリートの姿を見て、競技人口を増やすというのも重要だと思っています。近年、子どもたちのスポーツ離れという状況が起こっています。これには、指導者不足というのも一因としてあると思います。子どもたちがスポーツをしたいと思っても、指導をしてくれる大人がいない。大人の皆さんの多くは仕事をしているので、それに加えて子どもたちの指導というのはなかなか負担が大きいです。私も土日にスポーツ少年団でバスケの指導をしています。かなり大変ですが、子どもたちが待っているので頑張っています。スポーツ少年団は勝つことよりも心を鍛えることを重きに置いていると考えていますが、スポーツ少年団の子どもたちからもプロになるような子が育ってほしいと願いながら指導をしています。そして、地元に帰ってきて恩返しとしてまた指導に携わってくれればいいと思います。
松阪市総合計画では「スポーツと連動したまちづくりの推進」というのが施策の一つになっています。その目玉がみえ松阪マラソンです。健康づくりだけではなく人と人との交流が生まれることによって、まちづくりに繋がっていくと思います。まだ1年目ですが、これから松阪市のイベントとして定着し、市民の皆様にどんな形でもいいので応援してもらいたいと思っています。
(参加者からの質問・コメントとその回答)
・地域が一体となったイベントであるとよくわかりました。ぜひ今年も成功してほしいです。一方、職員負担は尋常じゃなさそうですね。
松阪市役所で大きい動員というと、選挙があるのですが、それよりも多くの職員を動員しました。長時間労働となり、申し訳なかったと思っています。次回は交代制とすることを考えています。また、負担もそうですが、絶対にケガや事故があってはいけないと思います。安全が第一。
・スポーツ課の一担当というに留まらず、まち全体を良くしようと言う気持ちが伝わってくるお話でした。マラソンは思っていたより沢山の人に支えられていることに驚きました。準備も大変だと思いますが、一番大変だったのはどういったところですか。
近隣住民、とくに商売をされている方への交通規制のお願いが一番厳しかったです。社員をどう店に入れたらよいのか、営業補償してくれるのか等のお声をたくさん頂きました。これについては、頭を下げてお願いをしました。今回の経験を通して、味方が味方を呼ぶ、友達の輪を広げていくのが大事だと感じました。本当に大イベントで、多くの人に熱意を持って関わっていただきました。ランナーの皆さんにもそれが伝わったと思っています。
・今回のマラソンは、初めての開催としては大成功でしょうか。
ランナーの方には褒めていただいたが、松阪市としてどうかはまた別だと思っています。愛着を持ってもらうことがポイントだと考えています。
・97%以上の完走率はすごいと思います。
フルマラソンをやるからには1番を目指さなければいけないかなと思っていました。完走率はできれば100%を目指したかったです。全国47都道府県から参加者を募ることができたのは第1回大会だからというのもあるかもしれません。全国47都道府県の大会に参加したいという方が一定数いるので。第2回が勝負だと考えています。
・地域性を存分に出した松阪マラソンだったと感じました。また全国からの参加者がいらっしゃったということで松阪市のPRにも繋がったのではないかと思います。川上さんも仰られていましたがスポーツ人口の減少傾向にある今、ぜひ松阪マラソンの継続と老若男女が多くのスポーツに触れられる機会が設けられることを今後も期待したいですし、また地元民としても盛り上げていきたいと感じました。
スポーツ人口の減少は、そもそも子どもが減っているというのはあると思います。学校の部活動においても、昔は全員が何かしらのクラブに入り部活動をしていましたが、今は入らないという選択をする子も増えてきています。特にスポーツ少年団についていえば、保護者が忙しいというのもあると思います。スポーツに限らないが、何かに没頭するのは大事なことなので、そういうものを今の子たちにも持ってほしいと思っています。
・フルマラソンはただのイベントと思っていましたが、奥が深いと感じました。
・マラソン当日は私も選手として参加させていただきました(ジュージューの部)。マラソン実施のあと、新聞紙上等で交通規制について批判を目にしましたが、回数を重ねるうちにそういった声は減っていくのではないかと思います。良い意味で、まつさかマラソン開催が当たり前になって欲しいです。松阪市民に、マラソンやウォーキングの楽しさがもっと根付いたらいいなと思います。
・みえ松阪マラソンが、単なるスポーツイベントではなく、大きな意味でのまちづくりイベントであると感じました。
・私はソフトボールのスポーツ少年団に所属していましたが、チームが合併に合併を繰り返し、遂になくなってしまい、寂しい思いをしました。ただ、こういった盛り上がりのあるイベントがどんどんあると、活気が戻ってくるのかなと感じていますし、将来的にも子どもたちがスポ少を通じ成長できる環境があればいいなと思います。
・みえ松阪マラソンが注目を集めて、参加者や関係者が多くなることは「サステナブル」にも繋がると思います
・みえ松阪マラソンが、松阪牛をはじめ地元産品の生産・消費にも関わっているとことがわかりました。