あおさのり

三重県はあおさ生産量第１位

青さのりは、おにぎりやのり巻きに使われる板状の黒のりとは違い、加工後も深い緑色を保ち、乾燥させたフレーク状のものがスーパーなどで売られています。
青のりと風味がよく似ていますが、粉状になって売られているものは青のりです。

この青さのり、なんと三重県が生産量全国1位。なかでも松阪市は県内で2番目の生産量を誇り、日本の主要な生産地のひとつとなっています。

実は青さのりはおいしいだけでなく、体にうれしい栄養素がいっぱい。
まずは食物繊維。青さのりには食物繊維が40％以上含まれています。
皆さんご存知のとおり、食物繊維は便秘や血中コレステロールの上昇を防ぎ、さらに糖尿病の予防にも効果があると言われています。
そしてビタミン類も豊富。ほうれん草の約2倍も含まれているビタミンAは、視力低下を防ぎ、健康な歯、肌をつくってくれます。
ストレスを解消する効果があり、骨を強くするビタミンCやカルシウム、血液をサラサラにし、中性脂肪を減少させるEPAも含まれています。
まさに健康な体づくりに最適な食材と言えるのではないでしょうか。

特別インタビュー　松阪漁業協同組合　副組合長　前田 晃一さん

色、味、香り、どれをとっても最高級の松阪の青さのり

松阪の青さのりは、色が濃く、味も香りも力強いのが特徴。

これは松阪地区の漁場が青さのりの生育に最適な地形といえるからです。
ひとつは遠浅であること。また、山と海の距離が近く、漁場に豊富な栄養素が含まれています。
適度に波もあり、この波にあたることで、青さのりの色が濃くなり、香りが高くなると言われています。

松阪漁業協同組合 副組合長の前田晃一さんは、「僕はほかの場所の青さを食べたことがないからわからないけど、他から買いに来られた方は、ほかの青さのりと全然違う、って皆さんおっしゃいますね。名古屋からここまで青さのりを買うために来られる方もいます。もちろんどこの漁師もそうでしょうけど、僕たちも松阪で採れる青さのりが日本一だと思ってます」と話してくれました。

微妙な加減がモノを言う職人の技

松阪の地区で青さ漁を行っているのは約30軒。
漁場は毎年くじ引きで決まります。「僕らの漁場は全員が同じ広さなんですが、網の高さや摘み取りの加減で、人によってまったく採れる量が変わってくるんです。網の高さが1cm違うだけでも変わりますし、伸びてきた青さを1回にどれくらい摘み取るかでも違います。そこがおもしろいところ。やっぱりほかの人より多く採れるとうれしいじゃないですか（笑）」と、前田さん。

青さのりの収穫時期は1月から4月。
船で漁場に行って胸の高さまで海につかりながら網の高さを上げ、網の下を潜り船で潜りながら頭上の青さのりを機械で摘み取っていきます。

「もちろん1月2月は寒いですよ。だけど青さを摘んでいる間は夢中なので、寒さもあまり感じないんです。潜り船で網の下を通っている間はずっと中腰や正座。言われてみれば、確かに楽な作業じゃないかもしれません。」（前田さん）。
潮の満ち引きによって時間帯は変わりますが、船を出すのは朝8時ごろ。
海中や海上で作業をするため、漁師の皆さんは朝7時には漁港に集まり焚火を囲んで体をあたためます。
10時くらいには摘み取りを終えて漁港に戻り、海水をくみあげて洗い、貝殻や藻などを丁寧に取り除きます。
共有の脱水機である程度脱水させたら自宅に持ち帰って裁断、乾燥させ、箱詰めして出荷されます。

「収穫の時期は1月から4月ですが、収穫の時期を終えたら網を外し、1軒分約2000本ある支柱をすべて抜きます。網をきれいに洗って、そこに種つけをしてもらい、9月にはまた支柱を立てて網を張る。1年がかりの作業です。この1年かけて採った青さをおいしいと言ってもらえるときが、一番うれしいです」と前田さんが話してくれました。

青さ漁師が教える、松阪の青さのりならではのおいしい食べ方

力強い味と高い香りが特徴の松阪の青さ、どんな料理で食べるのがおいしいのか。
前田さんにおすすめの食べ方を教えていただきました。

「やっぱり一番はお味噌汁。お椀を持ち上げただけで、ふわっと青さが香ります。それと僕らがよく食べているのは天ぷらです。乾燥させた青さにそのまま衣をつけてかりっと揚げる。そこに塩をパラパラッと。おいしいですよ。松阪の青さは香りが強いので、揚げてもその香りが飛ばないんです。もうひとつぜひ試していただきたいのがペペロンチーノ。これも松阪の青さだからこそ。ニンニクの強い香りにも青さの香りが負けません。青さだけのシンプルなペペロンチーノもおいしいんですが、しらすと合わせた『青さとしらすのペペロンチーノ』、これが最高です！」（前田さん）。

和風の料理に使われるイメージが強い青さのりですが、イタリアンにも合うとは意外！松阪の青さのりだから味わえるおいしさを、ぜひ一度味わってみてください。

​