ベトナムと聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?生春巻きなどのグルメ、素朴な街並み、美しい自然、民族衣装のアオザイなどでしょうか。街並みが世界遺産に登録されているベトナム中部にあるホイアン市は、ハノイやホーチミンと並び非常に人気がある観光都市で、松阪市と大変ご縁があることをご存じの方も多いと思います。
1632年、松阪の海外貿易家である角屋七郎兵衛は、22歳で安南国(現ベトナム)に渡り、王族の娘と結婚し、ホイアンに居を構えて盛大に商売をしました。「柳条布」というストライプの木綿織物や砂糖、沈香など珍しいベトナムの産物が、松阪にももたらされたそうです。柳条布は、松阪木綿の「松坂嶋」となったという説もあり、松阪商人の才覚によって当時の江戸で大変な人気を博したのは有名です。貿易で大成功した七郎兵衛は、来迎寺や岡寺、龍泉寺にも多額の寄進をしたと言われています。
このように江戸時代から続くホイアンとの交流は、現在も様々な形で続いています。毎年8月に開かれるホイアンフェスティバルには、歴代の市長、副市長が参加し、ホイアン市の幹部も何度か松阪市を訪れています。平成25年には「松阪市・ホイアン市観光交流協定」を締結し、ブランド大使のあべ静江さんもホイアン市を訪問しています。
伊勢志摩サミットの際は、ベトナムはアウトリーチ国として参加し、マイ・ティエ・ズン政府官房長官のほか閣僚が訪れ、松阪木綿の手織りを体験したり、松阪牛を賞味したりして、松阪の文化に触れました。
私も、昨年11月、鈴木知事とベトナムを訪問し、グエン・スアン・フック首相、グエン・ヴァン・ズン ホイアン市長と面会しました。1月には、東京のベトナム大使館にグエン・クオック・クオン駐日大使を訪ね、今後の松阪とホイアンの友好について話しました。
400年あまり前に角屋七郎兵衛から始まった松阪とホイアンのご縁が、行政や民間の垣根なく、今後も末永く交流が続くことを願っています。