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血液は、赤血球や白血球などの細胞成分と、血清あるいは血漿と呼ばれる液体成分の大きく二つに分類されます。血液を用いた検査には、
などが、あげられます。
検査の目的に応じて、いくつかの種類の試験管に採血させていただいています。
紫のキャップで採血された試験管をセットし、スタートを押すと約3分程度で測定結果が印刷されます。1時間に約50人分に処理が可能です。
血液の血清と呼ばれる液体成分を測定する装置。機械にセットしてスタートを押すと約20分程度で測定結果が自動的に印刷されます。1時間に約30人分の処理が可能です。
普通は、空腹時に採血をおこないますので、採血がある場合は食事をとらずに来院して下さい。食事をして採血をおこなうと、血糖、中性脂肪などが高値となり真の結果値が出ません。
赤血球の主な役割は、赤血球中のヘモグロビンのhemoによる酸素・二酸化炭素の運搬です。赤血球増加症(真性多血症・脱水など)で、赤血球数が増加し、貧血で、赤血球数・ヘモグロビン濃度が減少し、さらにMCV(平均赤血球容積:赤血球の大きさ)で貧血の種類(鉄欠乏性貧血・悪性貧血など)が推定できます。
白血球の主な役割は、細菌や異物を貪食し、殺菌・分解・消化することです。抗原(細菌異物など)を認識し、それに対する抗体(免疫)を作ります。感染症・炎症性疾患・白血病などで、白血球数が増加し、ウィルス感染・再生不良性貧血などで白血球数が減少します。
血小板の主な役割は、血管が傷ついて血管外に血液が流れ出した時、血管を収縮し、傷に血小板が粘着・凝集してふさぎ、出血を止めることです。出血傾向の診断には、血小板数だけでなく、凝固線溶検査の測定も行われます。血小板減少症・血小板機能異常症・血友病・播種性血管内凝固症候群などがわかります。
肝臓は体の中で一番大きな臓器で、お腹の右上部に位置します。蛋白質やコレステロールなどの栄養分を作ったり、体内にある有害な物質を無害な物質に変えたり、ビタミンなどを蓄えたりする役目をもっています。肝臓の細胞の中には、AST(アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ、別名GOT:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスアミナーゼ、別名GPT:グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)という酵素がたくさん含まれていて、肝炎などの病気で細胞が傷つくと、これらが、血液の中に出てきて、高い値になります。また、Ch-E(コリンエステラーゼ)という酵素や、TP(総蛋白)は、肝臓で作られるため、肝臓の機能が落ちている肝硬変などの病気で、低い値になります。γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチターゼ)という酵素は、アルコールと関係が深く、お酒の飲み過ぎで、値が高くなります。T-Bil(総ビリルビン)は赤血球が古くなって出来る色素で、肝臓から、その下にある胆のうへ行き、そこで胆汁となり、最後には便の中に排出されます。肝硬変や胆石症といった胆汁の流れの悪くなる病気で、血液中のビリルビンが高くなり、黄疸の症状があらわれます。肝臓は、「沈黙の臓器」と言われるほど、自覚症状が出にくいので、定期的に血液の検査で、チェックすることが大切です。
腎臓は、そら豆のような形をしていて、背骨をはさんで左右に一個ずつあります。おしっこをつくるのが仕事です。血液は、腎臓の中でふるいにかけられ、体に必要な成分はもう一度吸収され、いらない部分はおしっことして排泄されます。腎臓の機能が低下して、この排泄がうまくいかないと、本当なら、排泄されるべきBUN(尿素窒素)、CRE(クレアチニン)などが停滞して、血液中の値が高くなります。
血液中のT-CHO(総コレステロール)やTG(中性脂肪、トリグリセライド)が、正常より高い場合を高脂血症といいます。この状態が長く続くと、動脈硬化をおこし、さらに心筋梗塞、脳梗塞などの病気をひきおこす可能性があります。HDL-CHO(高比重リポタンパクコレステロール)は、動脈の壁からコレステロールを肝臓へ運ぶ作用があり、善玉コレステロールとも呼ばれます。
痛風とは、血液中のUA(尿酸)という物質が増えて、関節炎などを患う病気です。発作時の関節痛は激痛で、「風が当たっても痛い!」というところから、病名の由来になっています。また、尿酸のもとになっている物質が、肉類に含まれているので、肉類を好む人がかかりやすいともいわれています。
糖尿病は、血液中のGlu(グルコース、血糖)が上昇する病気です。血糖値を下げるインスリンというホルモンの不足などが原因としてあげられます。糖尿病の検査にはグルコースの他、HbA1c(ヘモグロビンA1c)があります。これは過去1~2ヶ月のグルコースの状態をよくあらわすので、糖尿病の状態の管理によく用いられています。
検査項目 | 基準値 |
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RBC 赤血球 | 男性:410~550×104/μl 女性:380~480×104/μl |
WBC 白血球 | 4,000~9,000/μl |
PLT 血小板 | 15~40×104/μl |
AST アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ | 10~35IU/l |
ALT アラニンアミノトランスアミナーゼ | 10~35IU/l |
CH‐E コリンエステラーゼ | 0.60~1.30Δph |
TP 総蛋白 | 6.5~8.5g/dl |
γ-GPT ガンマーグルタミルトランスペプチターゼ | 8~60IU/l |
T‐BIL 総ビリルビン | 0.2~1.3mg/dl |
BUN 血中尿素窒素 | 9.0~22.0mg/dl |
CRE クレアチニン | 男性:0.50-1.10mg/dl 女性:0.40-0.80mg/dl |
T‐CHO 総コレステロール | 150~219mg/dl |
TG 中性脂肪、トリグリセライド | 50~149mg/dl |
HDL-CHO 善玉コレステロール | 40~95mg/dl |
LDL-CHO 悪玉コレステロール | |
UA 尿酸 | 2.0~6.9mg/dl |
GLU 血糖、グルコース | 70~109mg/dl |
HbA1c ヘモグロビンA1c | 4.3~5.8% |