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今後の気象状況(高温、少雨等)に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導について

印刷用ページを表示する掲載日:2019年7月3日更新

今後の気象状況(高温、少雨等)に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導の徹底について(お願い)

 気象庁発表の「全般1ヶ月予報(令和元年5月9日)」によると、北・東・西日本では、日本海側を中心に気温がかなり高くなる可能性があり、降水量も平年並か少ない見込みとなっている。また、高温に係る異常天候早期警戒情報(令和元年5月13日)が、沖縄地方を除く全国を対象に発表されており、農作物の生育等への影響が心配されるところであるとされています。
このため、「農業技術の基本指針」(平成30年改定)を踏まえ、下記について、各地域の状況に応じた迅速かつ適切な対応が行われるよう、対策の実施をお願いします。

1.共通事項
(1)高温が続くことにより、農作物の生育ステージの急激な前進が想定される場合は、農作業計画の適切な見直しや農業資材等の確保に注意する。また、都道府県病害虫防除所の病害虫発生予察情報の収集に努める。
(2)農業用水の確保のため、関係機関との調整を図り、計画的な配水が行われるよう措置する。
(3)暑熱環境下で作業を行う場合は、熱中症対策として、高温下での長時間作業を避け、こまめな水分と塩分の補給や休憩を取るように心掛けること。
特に、高齢者は、のどの渇きや暑さを感じにくく、知らず知らずのうちに熱中症にかかりやすいことから、単独作業にならないよう定期的に異常がないか巡回を行うなど、効果的な注意喚起を行うこと。
(4)この時期は、寒の戻りによる、低温、晩霜、降ひょう等の発生にも注意し、最新の気象情報を確認しつつ対策を講じられたい。


【水稲、麦類、大豆】
2.水稲
種子伝染性病害の発生を防止するため、種籾の塩水選・消毒等を徹底する。
また、育苗期における高温・高日射条件では、もみ枯細菌病等の病害、苗の徒長やヤケ苗が発生しやすくなるため、高温・過湿にならないようハウスの換気を行うとともに、十分な灌水を行う。
また、生育前半が高温傾向で推移した場合には、稲の生育が旺盛となり、過剰分げつや籾数過多を招き、乳白粒等を増加させる事例が見られることから、適正な基肥の施用、栽植密度の調整、中干しの徹底等により茎数・籾数の適正化に努める。
さらに、農業用水の供給に影響が生じる可能性がある場合には、事前に利水調整に関して地域内の話合いを進め、不足が見込まれる場合には、番水や用配水の反復利用等を行い、農業用水の有効活用に努める。


3.麦類
生育が早期化することが予想されることから、生育状況を的確に把握し、赤かび病等の適期防除に努めるとともに、生育ステージや生育量に応じた施肥等の対策を実施する。
また、収穫期を迎える地域では、収穫機や乾燥調製施設の整備体制を考慮し、適期収穫となるよう気象予報等に注意した計画的かつ効率的な収穫作業に努める。


4.大豆
播種後の乾燥による発芽不良を防ぐため、砕土、整地、播種時の覆土・鎮圧は丁寧に行う。


【園芸作物】
5.野菜
(1)干ばつ対策
ア 干ばつ傾向にある地域においては、土壌の保水力を高め、また、根を深く張らせるために、深耕、有機物の投入等に努める。さらに、マルチ等により土壌面からの蒸発防止に努める。
イ ハダニ類、アブラムシ類等、干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。
(2)高温対策
ア 全般
(ア) かん水は、立地条件や品目、生育状態等を十分考慮し、早朝・夕方に実施する。施設内でのかん水は、湿度が高くなりやすくなることから、夜間や曇雨天の日中には、通風するなどして湿度を下げる。また、地温上昇の抑制や土壌水分の保持を図るため、使用時期や施肥等に注意し、地温抑制マルチや敷わら等を活用する。高温耐性品種の選定に当たっては、立地条件、品種特性、需給動向等を十分に考慮する。
(イ) 園芸用施設は、妻面・側面を開放するとともに、作物の光要求性に応じて、遮光資材等を使用し、施設内の温度上昇を抑制する。遮光資材は、果実の日焼けや葉やけの防止にも有効である。循環扇は、局所的な高温・高湿空気の滞留を防ぎ、室内温度・湿度の均一化が図られるとともに、作業快適性の向上が期待できる。さらに、天窓の開閉や換気扇等を活用した換気、遮光資材、細霧冷房等の対策と併用することが重要である。
(ウ) こまめな除草や側枝、弱小枝及び下葉を除去し、風通しを良くする。
(エ) 育苗箱は、コンテナやブロックでかさ上げし、風通しを良くする。
イ 特に葉茎菜類
(ア) 乾燥によるチップバーンを防止するため、薬剤防除時にカルシウム剤を混用する。
(イ) ねぎでは、軟腐病が発生するおそれがあることから畝間かん水を控える。
ウ 特に果菜類
(ア) 不良果の摘果、若採りを行い、着果負担の軽減を図るとともに、適切な施肥により樹勢維持に努める。
(イ) 老化葉、黄色葉を中心に摘葉を実施し、水分の蒸発抑制に努める。
(ウ) カルシウム欠乏、鉄欠乏、ホウ素欠乏等の生理障害対策として、必要に応じて葉面布を行う。
(3)ひょう害対策
ア 被害発生時には、欠株の補植、追肥等を的確に行い、生育の回復に努める。
イ 折損した茎葉の除去と適切な薬剤散布を行い、病害の発生を防止する。


6.果樹
(1) 干ばつ対策
ア 干ばつ傾向にある地域においては、用水の確保に努め、敷わら、敷草等により土壌水分の蒸発を極力抑制しつつ、適切かん水を実施する。
イ 草生園においては、干ばつ期の草刈りを実施し、防水透湿性シートによるマルチ栽培を行っている園地においては、マルチを巻き上げてかん水を行う、かん水チューブによりドリップかん水を行う等により、地表面への直接かん水に努める。
ウ なお、かん水に当たっては、かん水設備の漏水、目詰まり等に注意し、適切にかん水が行われるよう事前に点検を行う。
エ 干ばつ時に発生しやすいハダニ類については、発生動向に十分注意し、発生初期からの薬剤防除を実施する。
(2) 高温対策
ア 収穫期を迎える果実については、着色不良を防止するため、せん定や反射シートの活用による適切な光環境確保の取組によって、着色を促す。
イ 着色が遅延することに伴い収穫時期が遅れ、果実が過熟とならないよう、適期収穫に努める。
ウ 高温によって果実の日焼けが発生しやすい園地においては、各種資材による遮光等の対策をとる。
(3)ひょう害対策
ア ひょう害の発生しやすい地域においては、多目的防災網を設置するなど、恒常的な対策を講じ、被害の発生を未然に防止する。
イ 被害を受けた場合には、被害程度をよく観察し、今年や翌年の生産への影響を少なくするため、薬剤散布等の適切な管理を継続する。
特に、
(ア) 摘果前に被害を受けた場合には、枝葉の損傷程度に応じてできる限り優良果を残す。
(イ) 摘果後に被害を受けた場合には、一週間程度は樹相を観察した後、枝葉の損傷程度 に応じて摘果する。


7.花き
(1)干ばつ対策
ア 干ばつ傾向にある地域の露地栽培の花きについては、土壌の保水力を高め、また、根を深く張らせるために、深耕、有機物の投入等に努める。さらに、マルチ等により土壌面からの蒸発防止に努める。
イ ハダニ類、アブラムシ類等、干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。
(3) 高温対策
ア 切り花については、朝・夕の気温の低い時間に採花し、常温で長時間放置しない。また、エチレンによる劣化を防ぐため前処理剤を使用し、品質の維持に努める。
イ 施設栽培の花きについては、施設内の温度上昇を抑制するため、妻面・側面を開放するとともに、作物の光要求性に応じて、遮光資材等を使用する。細霧冷房装置、換気装置等を設置している施設では、この装置を有効に利用して適切な温度及び湿度の管理に努める。
(4) ひょう害対策
ア 被害発生時には、欠株の移植、追肥等を的確に行い生育の回復に努める。
イ 折損した茎葉の除去と適切な薬剤散布を行い、病害の発生を防止する。


【畑作物・特産物】
8.茶
(1)干ばつ対策
ア 茶園に敷草を行い土壌水分の蒸発を防ぐとともに、水利の良いところでは適切なかん水に努める。幼木園では特に注意する。
イ 干ばつ時に発生が多くなるチャノミドリヒメヨコバイやカンザワハダニ等害虫につ いては、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。
(2)高温対策
ア 急激な生育により摘み遅れることがないように、茶園巡回による生育状況の把握と計画的な摘採に努める。また、摘採後も葉傷みが進まないよう、摘採した生葉は可能な限り早くに茶工場に運搬するとともに、茶園での摘採後及び工場への運搬中に直射日光に晒されないように注意する。
イ 一番茶摘採終了茶園においては、周辺の茶園の摘採状況と病害虫の発生状況を把握し、適期防除に努める。
(3)ひょう害対策
ア 摘採期に達していない茶園で被害を受けた場合には、摘採期まで放任する。
イ 摘採期に被害を受けた場合には、早くに摘採し、葉傷みが進みやすいので早めに製造する。被害を受けても製茶可能なものは摘採するが、被害が著しく商品価値がないと判断された場合には、摘採せずに刈り落とす。


【畜産】
9.家畜
(1) 飼育密度の緩和、換気扇や扇風機による畜体等への送風や散水・散霧を行い、家畜の体感温度の低下に努める。
(2) 寒冷紗やよしずによる日除け、屋根裏・壁・床への断熱材の設置、屋根への消石灰の塗布等により、畜舎環境の改善に努める。
(3) 良質で消化率の高い飼料の給与、ビタミンやミネラルの追給及び清浄で冷たい水の給与に努める。
(4) 観察の頻度を増加させることにより、健康悪化の兆候がないか等、家畜の健康状態をよく把握し、快適性に配慮した飼養管理に努める。
なお、具体的な家畜への暑熱対策に関する相談窓口については公益社団法人中央畜産会のホームページを、快適性に配慮した家畜の飼養管理については公益社団法人畜産技術協会のホームページを参照のこと。
中央畜産会の相談窓口のホームページ:http://jlia.lin.gr.jp/keiei/<外部リンク>
畜産技術協会の快適性に配慮した家畜の飼養管理のホームページ:http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/<外部リンク>


10.飼料作物
(1) 干ばつ対策
土壌条件等により高温及び晴天の影響が大きく現れる地域では、土壌の保水力を向上させるため土壌改良資材の投入等を行うとともに、今後、は種する場合には、耐干性の優れた草種・品種の選定に努める。
(2) 高温対策
草地については、スプリングフラッシュ等による急激な草勢が見られることなど、飼料作物の収穫作業や放牧の実施に際しては、牧草等の生育状況を踏まえ、適切な作業に努める。特に、今後高温が続くことにより、例年より作業時期が早まる可能性があることを考慮し、準備を進める。
(3) 気象リスクの分散対策
ア 平成30年の梅雨期において、豪雨・長雨の被害が甚大であったことと等を踏まえ、 あらかじめ収穫時期が集中しないよう、地域の条件に応じて可能な範囲で早晩性の異なる品種を組み合わせる等、作期の分散化によるリスク分散に努めるとともに、天候に応じて迅速に管理・収穫作業等が行えるよう十分準備すること。
イ とうもろこし、ソルガム等の作付けに際しては、耐倒伏性の品種を選定するとともに、施肥管理や栽培密度に注意し、倒伏の防止を図る。その際、春先にスラリー散布を行ったほ場では、早期刈り取りを行う場合に飼料中の硝酸態窒素濃度が高くなる傾向にあることから、必要に応じて分析を行い、粗飼料中の硝酸態窒素濃度を確認する。また、これまで台風の常襲を受けていない地域を含め、収穫が台風シーズンに当たらないよう作期の設定を行う。
ウ 冷害を受けやすい地域においては、草種・品種の組合せ等に注意し、被害を最小限に抑えるような栽培計画を立てる。特に、とうもろこしについては、冷害による被害が大きいため、早生系統の作付を行い、適期は種に努める。

農作物等の被害防止に向けた技術指導に関する通知

  農林水産省において、気象庁が発表する気象情報等に基づき、農作物等の被害防止に向けた技術指導通知を発出していますのでご参照ください。 農林水産省HPへ<外部リンク>

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