魚町一丁目の「丹波屋」を屋号とする松阪屈指の豪商、長谷川治郎兵衛家の本宅です。
長谷川家は、数多い江戸店持ち伊勢商人の中でも、いち早く江戸に進出して成功をおさめました。1675年、3代治郎兵衛政幸を創業の祖とし、後には江戸の大伝馬町一丁目に5軒の出店を構える木綿商となります。広重作の「東都大伝馬街繁栄之図」には、長谷川家の江戸店が描かれており、その繁栄ぶりがうかがえます。
長谷川家の広大な屋敷構えは、その長い歴史の中で隣接地の買収と増築を繰り返し形成されたもので、近世から近代にかけて商家建築の変遷をたどることができます。
正面外観は建ちの低い、つし二階建てで、袖壁の上に立派な本うだつが上がっています。左手に表蔵を見ながら玄関をくぐると、奥に向かって通り土間が続き、奥に土蔵がさらに4棟、最も古い大蔵、左に米蔵、大蔵の右手に新蔵と西蔵が並んでいます。
主屋正面
表塀
主屋 くど、通り土間
旧長谷川家住宅 建物配置図
長谷川家には、建物群のみならず、創業以来大切に保管されてきた商業資料、古文書、蔵書類及び商業関係の諸道具、生活用具など、膨大な資料が良好な状態で保存されており、伊勢商人の繁栄の証を今に伝える貴重な文化遺産です。
大蔵
文書箱(紀州藩)
駕籠
千両箱
古銭
大正座敷
離れ
回遊式庭園
土蔵の裏手には、町境でもある背割排水が流れ、その奥には池を中心とした回遊式庭園が広がっています。ここは、以前、紀州藩勢州奉行所があった地で、明治初年に長谷川家が購入し、庭園の他に離れや茶室、四阿(あずまや)などをつくりました。
旧長谷川治郎兵衛家は、平成28年7月25日、国の重要文化財(建造物)に指定されました。
また、平成27年3月5日には、県の史跡及び名勝に指定されています。
最新の情報は、 旧長谷川治郎兵衛家公式サイト にてご確認ください。