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地域医療シンポジウム要旨

ページID:0115539 更新日:2018年2月15日更新 印刷ページ表示

地域医療シンポジウム

テーマ

地域医療シンポジウム
~より良い医療を継続して提供するために~

とき

平成29年12月23日(土曜日)13時30分~16時45分

ところ

産業振興センター 研修ホール

プログラム

「地域医療構想と今後の松阪市民病院」
~この地に安定した医療を継続して提供し続けるために~

 地域医療構想をふまえた松阪市民病院の在り方検討委員会
 委員長 末永裕之 先生(小牧市病院事業管理者)

基調講演

「公立病院改革と日本海総合病院の歩み」

 栗谷義樹 先生(山形県・酒田市病院機構 理事長)

パネルディスカッション

~この地に安定した医療を継続して提供し続けるために~

 コーディネーター
 末永裕之 先生

 パネリスト
 伊佐地秀司 先生(三重大学大学院医学系研究科 肝胆膵移植外科学教授)
 栗谷義樹 先生
 野呂純一 先生(松阪地区医師会 会長)
 渡辺幸香 氏(南徳和自治会 会長)
 竹上真人(松阪市長)
 櫻井正樹(松阪市民病院 院長)

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主な意見、質問、回答、パネルディスカッションでの意見交換等

  • 皆さん、同じ思いと思うけれども、松阪の良い医療を継続していきたい。3つの病院があって、救急はいつでも受け入れてくれる、これは松阪の宝であると思う。私たち市民には何が出来るのか。元気でいるためにはなど考えている。小さな集会所に世代を超えて集まり、ちょっとでも病院にかからなくてもいいように、具合が悪くなれば近所の方に声掛けできるように、少しずつ行動している。
    家族が体調を崩した時にせっかく三つの病院があっても、退院後すぐに自宅に戻れないとき、次に行くところの心配をする。いろんな方のお話を聞かせていただく中で、今松阪は変わっていくときかなと感じている。将来の松阪を考えてこの三つの病院を何とかうまく活かせればというのが気持ち。
  • 急性期を終えた人たちのことをどうしていくかということは、地域包括ケアシステムのことを言われている。松阪のこの地域でその部分の地域医療計画も進めていかなくてはいけないということ。
  • 救急医療には、周産期、脳卒中、心筋梗塞、事故などがある。
    それを考えた場合、松阪の場合は3つの病院があり、今は何とか受け入れが出来ているが、病院の救急輪番の市民病院の回数は少なくなっている。月のうち全てを市民病院が受け持っているのではない。現状では中央病院と済生会病院が多くを占めて、その一部を市民病院が受け持っている。救急医療は医療側からすると非常に労力が要る。
    一人の救急患者に対して、その方がどれほどの重症かというのはなかなかわからない。それでどういった治療が必要かとなった時に一人の医師では判断できないことがあるから多くの医師を呼ばなくてはならない。でも必要な医師数は限られてくる。出来ればこの区域に1つか2つ。そこに医師を配置した方がより手厚い治療ができると言える。これまでの3つということからは集約化のようなことを考えた方が、市民の医療を守るということでも良いのではないかと思う。
  • 3病院とも三重大学の第1外科から医師を派遣している。派遣する側からすると、同じ地域にたくさんの医師を派遣というのは大変な苦労だと思う。その意味で集約した方が派遣はしやすいということになる。
  • 医師会の会員は開業医、病院勤務医含めて500名、診療所としては150近くある。来年4月、医師会館の一角に、介護と医療の連携拠点を市が作る。いよいよ地域包括ケアシステムがスタートする。在宅医療に関しては、会員へのアンケートでは70くらいの機関が取り組んでいる。
    松阪市の総合計画、平成28年度から31年度の期間で策定されている。松阪市の総合計画第3章に市民病院のことが書かれている。そこに数値目標が書いてある。ビジョン4にのっとり平成31年度までの目標が書かれている。これについてお尋ねしたい。
  • ビジョン4を作成したときには、地域医療構想は出てきたけれども、必ずしも構想をふまえた形で完成しきれているものではないことから、今後検討を行っていくという形をとった。他の2病院を見ても、今の状況では地域医療構想の目標に近づくことはできないのではないかと思う。市民病院では地域包括ケア病棟であるとか、緩和ケア病床をつくったことでほかの病院よりは進んでいると感じているが、地域医療構想全体からすると十分ではない。
  • 公立病院の改革プランが提出されて、今は公的病院までそういうことが言われている。それを地域医療構想に結び付けていくとなっているので、以前に練ったものも大事ではあるが、新しい法律に基づいて考え直さなければならないのではないか。
  • 10年前の状況において救急車を受け入れられない日が二日間発生した。その時に医師会にお世話になった。残りの2病院にも1日ずつ救急車が行く日をとってもらった。そういうことをしながら、ようやく乗り切ってきた。上手くいかなくなった最大の原因は医者がいなくなったこと。医者がいないと救急は受けられない。
    松阪の3病院の体制は2次救急をきちんと診ていく、特に休日夜間に関しては救急車に乗れば行く病院が決まっている。こんな形は国内でも少ない。
    地域医療構想にあるように救急のベッドの数が減ってくると、抱えることができる医者の数が減っていく。そうすると10年前と同じように救急車を休日夜間、3病院のどこが受けるにしても上手くいかない状況が起こりはしないかと思っている。
    発言にもあったが、地域に高齢者が増えてくるとそこを支える部分が松阪には圧倒的に少ない。なので、一度根本から組み直すようなことを考えていかなければこの危機は乗り切れないのではと考えている。
    では、急性期のベッドが減って業務はできていくのか。それは日本海病院の栗谷先生のように集約化と機能分化をすることで、これまで以上に大きなパフォーマンスができる病院になれることを知ったし、そういう方向で行けばみんなが幸せになれると考えている。
  • 地域医療構想の方針は出されている。でも、実際に具体化しているところは極めて少ないというのが現状で、その中でこのことを考えていくのはいい時期であったと思う。委員会では第4回にいろいろな検討を行ったが、その中でも市民病院を維持してほしいという意見も出た。
    職員としては不安が先行しているということ、特に全員の職場を確保できるのかということがあった。
  • こういう状況の時に医療従事者を減らすと救急は受けられない。夕刊三重にも掲載された病院の統合は「表明した」わけではないけれども、たとえばそういう形になったとしても、非常に効率良く運営していけば忙しい病院になるはず。そうすれば人が必要になるし、それだけのものがそこにできる。市民病院はまだ使えるので、酒田医療センターのように地域包括ケア病棟とか回復期といったところを行えば、さきほど言われたように1週間で出なくてはいけない人も受けることができる。
  • 日本海病院は酒田病院との一体化した中で収支を考えて見る。そうしないと、単体で持ってしまうと大変で、市民病院と済生会病院の場合も一体化して考えないと、市民病院がそのままで回復期を受けても大変になる。
  • 医療職の雇用に関しては、施設基準がいろんなものがついてきたときに人手が必要になる。若い人の応募が多かった。若い人たちがいないと病院はだめだ。日本海病院は平均年齢が若くて、産休で休む看護師が平均で2病棟分、これは病院の厚生のひとつだと思ってやっている。
    地域産業、雇用は以前は公共事業で支えていたけども、今の地方は医療介護福祉で支えられている。この雇用が急激に減るということは地方にとって大変な打撃になる。総合計画の話もあったが、雇用といった観点で考えていく必要がある。
    統合の際まず考えたことは、やはりこの人たちをどうやって食べさせていこうということだった。地域医療を守ろうとかそんなことではなかった。職員をきちんと食べさせて守っていこうと思えば地域医療は結果的に守られる。療養・回復部分については法人全体の連結決算で見るべきと確信している。連携推進法人を作ったのは連結決算で考えないと地域医療も介護も守れないという考え方である。
  • 若い人が病院に希望がないと感じると来なくなってしまう。自分もそこに参加しようというような希望が持てると、新しい展開があるのではないか。若い人にとって魅力のある職場が維持できないと組織はダメになっていくだろう。

会場のご意見

  1. 国の方針を踏まえてというのは理解したが、数字の根拠については理解しがたい。
  2. 南海トラフ等大地震が起きたときを考えると病院をなくすことは心配。仮に済生会病院への統合とすると、場所の問題がありはしないのか。交通マヒや線路遮断機のことで災害時に使えないのでは。
  3. 費用の問題 急性期医療なくすと収益が悪化するとのことで、市民病院をそうしてしまうと赤字になる。済生会病院の方に、病床が増える部分に市税が投入されるというのも納得がいかない。市民病院の改修についてもどうなのかと思う。
     どの部分を見ても3病院を減らすことは市民としては納得できない。第2の公民館問題にならないように十分市民に説明して意見を聴いてほしいし、答申には災害時どうするかという部分も盛り込んでほしい。
  1. 高度急性期から慢性期までのベッド数については計算方法が決められている。平成26年度の法律で計算方法が決まり、ガイドラインで基礎が示されている。それを触ることはできない。法律上間違った計算をしているものではない。
  2. 場所の問題。南海トラフ大地震が起こったときに、市民病院で患者の受け入れを行うことになっているが手術まではできない。そこまでしているとすぐにパンクする。市民病院ではトリアージをして三重県の外にどんどん患者を送り出す一時的な受け入れを機能として考えている。
    市民病院も建物は残るので、そこに受け入れることは十分可能である。済生会病院に新しい建物ができたとして充分のハザードを考慮してできたとして、万が一、一時的な受け入れができないようなことになっても、そこは市民病院の建物で受け入れて対応できる。例えば済生会病院から医師を呼び込んでもできる。市民病院が残って3病院のままで行ったとしても、ハザードに関しては全く同じだと思う。先ほどの理屈で行くと済生会病院は使えないということになれば市民病院だけになる。その時に手術までするかと言えばそれはほとんど不可能です。市民病院で受け入れて、緊急措置をしながら次に移すまでのトリアージをする機能が求められている。なのでハザードはまず心配ない。建物が残っていて、そこでどういう機能であれ医療が行われていれば対応できる。
  3. 統合という意味は一つに完全になるということなので、済生会病院を市の方で買って市のものになるか、市民病院が済生会病院に入るかどちらかしかない。済生会病院に市民病院の急性期を抜いて渡して、そのうえで市民病院として残すのではなくて、完全に一つになって一つの傘の下で、財務状況の中で行うしかないのではないかと思う。

意見 市民

 日本の公立病院の約50%が赤字である。これがここの病院の問題というよりも国の医療費削減政策というところに一番問題がある。その財源については消費税ではなくて400兆円を超える大企業の内部留保や高額所得者から取るという政策転換をしないと根本的には解決できないと思っている。
栗谷先生が、赤字であった酒田市民病院の院長を引きうけたときには倒産寸前だった。400床に1日4.5人しかいない、それを見事に再生した。さらに旧日本海病院と統合して自身が院長になられての再生。独立行政法人といっても上手くいかないところがある中、これを成功させてというのは栗谷先生の能力が大きい。大きい病院になればとか、統合すれば何とかなるとか、そんなものではないと思っている。もっといろんな意味で深く検討して市民の医療をどう守るのか、ビジョン4のことも含めて検討をしていく必要がある。

意見 パネリスト

 大学から医師派遣している立場から申し上げると、3病院救急の当番日あるが、市民病院においては大学から当直医を出している。そういう状況で市民病院は救急輪番をやっているということも考えていただきたい。本来であれば自前で輪番をするべきである、それを医師がいないために大学からそこを埋めにいっているのが現実だ。病院3つが2つになれば、その必要性はなくなる。さらに、充実した救急医療ができると思っている。

 地域医療構想の病床削減数の件。確かに決まってはいる。自分も地域医療構想調整会議を何度も傍聴したが、聞いていた範囲ではどの先生方も納得してこの調整会議の方針を認めたというようには私には思えなかった。この高度急性期とかいうふうに分けてはいるが根拠は何かと聞いても、県も国が言っているからということで終わっている。
結局在宅医療にかかっていて、患者を受け入れる病床がなくなるということが一番の問題で、病院はどんな機能を持っていくかというのはこの調整会議の中でこそ議論すべきで、市だけではなくて多気郡もあるし医師会もある。在宅医療がどうなのかという議論も併せて行わないと、病床が減った分には在宅で診るといったことになっていくのでそこの問題をリンクさせるべきだ。大変なことになる。そこでお聞きしたい。日本海病院では病床が減ったけれども在宅医療はどうなったのか。

  • 在宅医療に関しては急性期からの引継ぎとして地域医療連携室というのがあって、在宅、介護へつなぐ役割。在宅医療専門のクリニックの先生がいる。そこと地域医療連携室のスタッフがリンクして活発に活動している。
  • 検討会議の中でも議論してきたのは、在宅医療をどうするかということ。訪問看護ステーションとか、訪問リハビリとか、診療所の先生、病院とのネットワークの構築について話しているところ。
    ほとんどの大規模病院では在宅支援の部署がある。来年度からは入退院調整という、入院の時から退院をどうするのかそういう部門を持たなくてはいけないようになる。
    基本的には診療所の先生方に一番細かいところをお世話になり、先生が中学校区くらいの範囲でネットワークを組んで、全てをすぐに病院に送るのではなくて、ある時間帯は面倒見るとかの役割の分担が必要になる。
    2025年度から2040年くらいまでが多死の時代になる。そんな時に病院で全て看取るというわけにはいかない。在宅或いは施設での診取りをするような形であるとか、今回の地域医療計画にはかなり幅広い問題がある。
  • 2病院が一つになる話は3回目の時に出たが、この話ではベッドは減らないと考えている。急性期は減るけれども市民病院の建物は残るし、急性期ではない地域包括ケア病棟とか回復期とか場合によっては療養のようなベッドを受け持つところは残る。トータルでは減らないことを考えている。ただそれは完全にはわかっていることではない。
  • 地域包括ケア病棟や緩和ケア病棟それだけでは絶対赤字になる。その部分も一体にして急性期が一緒になって持つことで、ここの地域で地域包括ケア病棟などを維持するということ。
  • 今後、概ねの方向を示せれば2025年に向かってそのバランスは自然になるようになっていく。病床を急に減らすような話はあり得ない。
    大地震が起こったときの体制もきちんと維持しなくてはいけない。

意見 市民

 現状の松阪市の中の市民病院が地域の3番目であるということが、今後このままの状態を続けていくとじり貧になるし、税金も投入されていることから、このままの状態の病院では駄目だと思う。そうすると変化は必要だ。その中で、市民は何を望んでいるのか何に困っているのか、そういうことを考えていくとき、この状態を解消していくということは、松阪市民病院もいろんな議論をする中で、形態を変えて、済生会病院、中央病院と共存していくように、市民としてはどんな形態になっても住みやすい街をつくることが実現されればよいので、このことは支持したい。

 今日の話の一つは病院が成り立つか成り立たないかということ。赤字にならないような健全な経営をしたいと、これがベースになっているように思う。赤字かどうかは大事であるが、それ以上に人間にとって欠かすことのできない医療という体制をどうやって維持していくのか、これが市民にとっては最も大事だ。
先ほどから出ているのは、この状況で進んでいくと大変な医療体制になって、崩壊していくということだが、その結果として、済生会病院と統合する案が具体化しそうである。市民病院は市民の財産。市民病院ができて約70年くらいだが、その間、市の財政も投入したりして維持してきた。この市民にとって大切な市民病院の将来をどうするか。今日こうやって市民病院の問題についてシンポジウムを行っている。市民、すなわち住んでいる者が主人公である。その市民病院をどうして守り市民のための医療機関としてどうして守ればよいのか、こういう視点から議論を進めてきたのではないか。市民の医療要望に応えられることが最優先されるべき。黒字が望ましいが、場合によっては赤字が出てもやらなければならない。そこに公立病院の果たすべき役割、使命がある。慎重に考えていただきたい。国の方針で病気が増えたり減ったりはしない。やむを得ず病気になる。市民サイド、患者目線でこの問題をみんなでもっと勉強したい。

 今日は、「この地域に安定した医療を継続して提供していくために」という副題とした。これはあくまでも市民の皆さんの安全安心を確保するためにということ。市民病院が市民病院として名前だけでもあった方がいいのか、市民に継続した医療になった方がいいのかということが今問われていると思う。

 市民の病院に対する期待、希望、要望を大事にしていただきたい。他の病院が成り立つのになぜ公立病院が成り立たないのか。そういうことも考えて維持できないのかという観点からの意見も出さないと、一方的な意見だけで行って諮問機関である皆さんの結論がこうなったので松阪市はそれに従いますというのではいかにも自主性がない。

 今の議論は大事な視点で、今回何故このような委員会を設置したのか、あらゆる有識者の皆さんに集まって頂いて何をしているのかというと、松阪の地域医療をいかに守るかということでやっている。
いろんなご意見はあるけれども、「持続可能な」という言葉が出てくる。市民病院の運営も春日町の1次救急もいろんな形の医療を皆様のご協力を得ながら、それなりの税金を投入している。
本当に難題が目の前に来ている。来年1月医師会の協力を得て地域連携の拠点が出来上がる。これでやはり在宅医療をきちんとやっていく体制の一つになると思う。
そういう中で、松阪の医療を永続的に持続可能な形でどうしたらできていくのかということを諮問させていただいている。そういった答えが出れば、説明会を開くであるとか、医療の話は専門的なことが多いのでかみ砕いて説明する機会を作っていきたい。

意見 市民

 病院の統合とかありそうですがメリットとデメリットを市民に示してほしい。
3つの病院の機能をどうするかということですが、一方で行政と市民が一緒になって健康寿命をどうやって伸ばすか、その観点が必要と思う。
訴えたいことは、今私たちは生活を維持しているが、これは世界でナンバー1の状態です。間違いなく。その中で皆さん高齢化とか過疎と言われていますけれどもこれは課題ではありません。このままの利便性のある生活が維持できるという妄想をもっていることが課題です。そこにみんな気づかないといけない。

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