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熊本地震発災平成28年5月17日(月曜日)

印刷用ページを表示する掲載日:2016年5月17日更新

 熊本地震発災後一ヶ月が過ぎました。
 お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族皆さんの哀しみはいかばかりかと御察し申し上げます。
 また一刻も早く平常な生活に戻れますようお祈り申し上げます。

 当院でも連休前に熊本県への6名の医療チームが派遣され、8日間の活動を行ってきました。
 5月13日、市長への報告が行われましたが、現場の混乱は変わらず続いているようです。単なるボランティアではなく公式に割り振られたスケジュールの中で朝5時台から夜11時までの連日過酷な勤務を行っていただいた6人の職員には心より感謝を申し上げます。  出陣式で、市長が、いつ何時我々に降りかかるか知れない災害であり、明日の我が身と考えてお手伝いをと伝えられましたが、まさに明日にでも東海、東南海、南海地震が起こるかも知れない。
 熊本の苦しみは我々の明日の必然ですから。

 地震が発生した時はNHKニュース9を見ていました。途中から地震の臨時中継になりましたが、正直その時にはこれほどの規模の災害になるとは思いませんでした。
 震度7は理解しましたが、その結果までは想像できなかったと言うことです。
 さらに、その震度7でさえ予震だったとは誰も想像もしなかったことでしょう。
 建物の損壊程度は想像以上のものでした。  時とともに増え続ける被害情報に接し、熊本の住民の苦境を慮るとともに、医療界の苦衷も想像します。
 震災の時の最も大きな問題の一つがインフラの早期回復です。医療供給体制もインフラの一つです。
 東日本大震災の時にも多くの病院の機能が失われ、入院患者さんの治療場所の確保、新規患者さんの受け入れにも支障が出ました。
 透析患者さんの問題も切実で、遠いところへの治療移住、一カ所での受け入れ数を増やすために透析時間短縮をお願いしたりと大変だったようです。
 今回の熊本地震でも透析不可能になった27施設のニュースが出ましたが、現在でも7施設は稼働していないようです。
 また、熊本市民病院(556床)が使用不可能で立ち入り禁止。
 病院中が水浸しになったセントラル病院308床のニュースも伝わってきました。
 熊本二次医療圏はとても大きな医療圏で、人口規模としては松阪、伊勢を合わせた南勢志摩医療圏の1.6倍もありますが、それでも一般床300床以上の急性期病院は6病院しかないのですから、いきなり日常診療から550床の病院が退場してしかも少なくとも数年はこの状態が継続するのは、地域医療から考えると、どうするのだ!と考えてしまいます。
 患者さんは発生し続けるので、周囲の医療機関は限界まで回転し続けるしかないのですが、医療機関のスタッフの過労も気に掛かります。さらに、数年も病院が存在しない間の職員はどうなるのか、再建築後果たしてスタッフは確保出来るのか、全く異なる形で再建されるのか、熊本の地域医療ビジョンにどのような影響があるのか、我々の地区が、震災で同様な形になったときにはどのような事が考えられるのか等々等、経営を預かる立場からは、今後の事も心配で仕方がありません。
 我々医療人はどのような機関に所属しているのであれ、公的な立場を要求されています。
 それは最初に記した医の倫理綱領にも明らかなのですが、熊本市民病院のスタッフはより一層公人としての立場で奮闘していらっしゃるのだと思います。熊本市民病院の職員の方々に、心からの声援を送らせていただきます。それと、どうか皆さんご自身の健康にもご留意下さいます様願ってやみません。

松阪市民病院 平成28年5月16日 院長 櫻井 正樹 

 院長 桜井 正樹の写真