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木造阿弥陀如来坐像
(もくぞうあみだにょらいざぞう)
国指定重要文化財
来迎印(らいごういん)を結ぶ清光寺の本尊である。肉髻(にっけい)、地髪(じはつ)ともに高く、螺髪(らほつ)は細かい。肉髻相(水晶)、白毫(びゃくごう)相(木曜日)をあらわす。穏やかな相貌で、ゆったりとした肩、薄く幅広い膝など典雅な風をもつ。その一方で、胸・腹などに豊かな肉付けがみられ、堂々とした印象を受け、平安時代から鎌倉時代へと移行する過渡期の作と見られる。
なお、清光寺は浄土宗知恩院末。寺伝では天平年間に町平尾に行基が創建したといい、天正16年(1588)松坂築城に伴い、日野町の一画に移り、元禄3年(1690)堂宇全焼の翌年、現在地に移転した。明治33年にも火災に遭い、現本堂は明治43年の建立。本尊及び脇侍はそのとき京都からもたらされたという。